「懲りない男と反省しない女/渡辺淳一」を読んだ
『懲りない男と反省しない女/渡辺淳一著(中公文庫)』を読みました。
2005年に中央公論社から刊行されたものの文庫本で、文庫化は2007年です。
またまた例によってブックオフで108円。
この本は、あの「失楽園」や「愛の流刑地」でおなじみの渡辺淳一先生が、わけありな女性二人との対談(問答?)を男女の問題に限って繰り広げるという、渡辺先生が完全に主導権を握っている様子がよくわかる(^_^;)形式で進められています。
渡辺先生、「男は浮気して当たり前」「結婚したら奥さんには飽きるからセックスレスなんて多くの夫婦がそうだ」「家に帰って妻からいろいろな話をされても困るし、一人でぼぉっとしていたい」・・などなど言いたい放題です。
女性側二人も黙っちゃあいませんが、悉く論破され、男っていうものは、結局常に新鮮な感覚でセックスできる女性を追い求めているという“理不尽”な渡辺説に“呆れかえり”“諦め”にも似た様子を対談相手の女性二人が見せ始めます。
ちょっと古い時期の本だから、ここまであからさまに渡辺先生はおっしゃっているが、でも、今や先生のおっしゃるような男ばかりではない世の中になってきつつあるんじゃないか、などとも読んでいて思いました。
男は仕事だけが、そしてその仕事上で得た地位や権力が自分を表現できる唯一のものだから、出世のためには、どんな卑怯で姑息な手段もいとわない、そしてそれが男の人生そのものである・・というようなことをおっしゃっています。
今の私には、上記のような思いは、『ゼロ』となっております。
長いこと生きてきて、仕事も様々なものをやってきて、自分にとって大切なものはまったく別のところにあるのだ、と、気づいているのが、今の私です。
男は、仕事上の戦いは、かつての武士の合戦のようなものであり、ライバルなどには、生物として殺すことはありませんが、仕事上の世界では抹殺しようとする人が大勢います。
二度と浮かび上がれないようにとどめをさしている人を何人も見かけました。
そうした争いをしている人、・・ご苦労様です。
もう、あなたはまっとうな人からはリタイアした後、誰にも相手にされないのですよ。
よかったね、一生掛けて誰にも相手にされないようなひどい人になれました。
と・・話がずれましたが、渡辺先生のお言葉は、ある意味世の中の真実を突いています。
そんなものだ、とも別の側面から私も思いました。
長い男女の歴史から得られた、男女相互が永遠に理解できない世界観について、明快に書かれた本だということは確かでした。
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