「体験的骨董用語録/中島誠之助」と「この骨董が、アナタです。/仲畑貴志」を読んだ
私が妻にお願いして家から病院に持って来てもらった『体験的骨董用語録/中島誠之助著(ちくま文庫)』と、それを持って来てくれるときに、「これを読みたかったのなら、私の持っているこの本はどう?」と併せて持って来てくれた『この骨董が、アナタです。/仲畑貴志著(講談社文庫)』を同時並行的にベッドで読みました。
『体験的骨董用語録』は、あの「なんでも鑑定団」でお馴染みの中島誠之助先生の著書です。
これはまさに骨董の“字引”です。
先生が番組中によく使っている骨董界での用語についてアイウエオ順に解説されているものです。
書きっぷりというか、この本での語り口は字引なのに、あの番組での“名調子”そのままに軽やかに、粋な感じで最後はちょっとユーモラスにピシッとしめる感じで、とても心地良く読みやすいd(^_^o)
たとえば、ニュー〔入〕などという表現もよく耳にしますが、英語でいえばヘアークラック、やきものについたヒビのことだと書かれています。放置しておけばわずかなニューでも器の中心に向かって進んでしまう・・などと書かれていました。
私も「この皿にはニューがあるね」などと骨董市などで使ってみたいものです。
アイテメキキ〔相手目利き〕は、自分では真贋がつかず、相手の鑑識を頼りに商売をする場合、または、偽物とわかっているのに、相手の勝手な見解にまかせて売りつけることでもある、と書かれていて、骨董界の内情というか、機微みたいなものも感じさせます。
イドヂャワン〔井戸茶碗〕などについては、かなり詳しく解説されていて、見ていて飽きない、そしてちょっと骨董知識が豊かになって、“にわか”ですが、骨董通気取りができる本でした。
そしてもう一冊「この骨董が、アナタです。」は、あの有名なコピーライター仲畑貴志さんが書いた傑作骨董エッセイとなっておりました(*゚▽゚)ノ
妻にこの本を手渡されるまで、仲畑さんが骨董の世界にずっぽりとハマっていたことを知りませんでした。
いやもう、たいへんな“ハマリよう”でした。
初心者のうちの、モノを手に入れる度の“一喜一憂”は、有頂天からジェットコースターなみの地獄への墜落の様子が手に取るようにわかり(^^;)それは本人にとっては人生の一大事なのに、読んでいるこちらは愉快に笑ってしまうという展開で、そんな面白話ばかりが、色々な骨董を手に入れる度のエピソードと共に語られています。
これを読んでいると、先ほどの中島先生の骨董字引に出ていた専門用語が満載です。
字引を引きつつ楽しませてもらいました。
大の大人が、骨董品を手に入れる度にうっとりしたり、人から妙な茶々を入れられて落ち込んだり、私はせいぜい骨董市で安いものにちょっと手を出すくらいですが、その魅力は底無しなんだな、と思いました。
あまりに面白いこの本、骨董ちょっと好きな方でも読んでみてほしい、そんな内容でした。
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