ニナ・シモンに出会って
ニナ・シモンの名は知っていた。ジャズがかかるようなラジオ番組でも数曲ではあるが聞いたことがあった。
でも、そんなに気にとめるでもなく時は過ぎてしまい、本気になって聞いてみようなどとは思わずにきてしまった。
ブックオフで数百円で売っていたその「ニナ・シモン」のCDは4枚組だった。
この4枚組にはLPレコード7枚分とボーナス・トラックが何曲か収録されていて、70曲を超える楽曲が入っているこれを発見したときには胸が躍った。
こういう出会い方をする場合は、たいてい“いい出会い”なのだ、間違いなく。
買ったその日に帰宅してすぐに聞いてみた。
いいっ!
なんていうんだろう、サラ・ボーンでもなく、エラ・フィッツジェラルドでもなく、クリス・コナーでもなく、ヘレン・メリルでもペギー・リーでもジュリー・ロンドンでもない。
ましてやジョニ・ジェイムスとは対極にある。
この素朴でしっかりと根を生やしたような地についた音楽、歌、ピアノ。
よくあるジャズのゴージャスな感じの曲などはライブ・アルバムが3枚も収録されているのにほとんどなく、どれもが陶器でいったら“素焼き”みたいな感じだ。
どっしりとしているのに、細部では繊細な部分もある。歌だけでなく、彼女のピアノも聞き物だ。つんとすましたようなところはなく、渇いた心に浸み渡る。
リズミカルでパーカッシブな曲などもあり、そちらはもう民族音楽的でもある。
流れる川のようであり、吹き渡る風のようでもあるニナ・シモンの歌はまったくこちらを飽きさせることがない。
あるときは“祈り”のようなものさえ感じる。
すっかりニナ・シモンの魅力に取り憑かれてしまった私は、家で聞き、クルマで出掛けるときも聞き、そして人にも薦めてしまう。
こりゃあいいよ、見つけて、そして聞いてよかった(*^_^*)
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