「JAZZ歴史的名盤・ジャケ裏の真実 -ジャズ・ジャイアンツ編-」を読んだ
『JAZZ歴史的名盤・ジャケ裏の真実 -ジャズ・ジャイアンツ編-/小川隆夫著(駒草出版)』という本を読みました。
整形外科医でJAZZジャーナリスト、ブルーノート創始者のアルフレッド・ライオン来日時の主治医まで務めたという著者。
著者自身3,000本のライナーノーツを手掛けたとのことですが、今回のこの本は輸入盤などを買うと必ずジャケット裏にある全面英文のライナーノーツの中から気になる部分を抜き出して翻訳、名だたるジャズ・ジャイアンツ達のアルバム紹介と共に振り返り、探求していく、というような本でした。
もともとは、電子書籍でブルーノートのアルバムについて執筆されていたものを、この本ではレーベルの垣根なく“ジャズ・ジャイアンツ”達を取り上げていて、紙の本も作ることになり、電子と異なりスペース上の問題があるため、本としての体裁を整えて再構築されたものとなっています。
コルトレーンや、マイルス、ビル・エヴァンス、スタン・ゲッツにキャノンボール・アダレイ、ハービー・ハンコックにビリー・ホリデイ、キース・ジャレットにセロニアス・モンク、ウエス・モンゴメリー、リー・モーガン、オスカー・ピーターソン、締めにはロリンズとウエイン・ショーターが登場します。
いやもう実にジャズ・ジャイアンツと呼ぶにふさわしい人ばかり。
それらのプレイヤーのアルバム、ジャケ裏ライナーノーツには何が書かれていたのか、と興味を持ったわけですが、アーティストにより、そして書く人により遠慮したり、まだ“海のものとも山のものともつかぬ”ような書き方があったり、ドラッグで心身ともに病み何度か隠遁状態にあった部分をそれとなくスルーしての書きぶりもあったり、逆に忽然とライブスポットに現われ、素晴らしい演奏をしたときのことが書いてあったりで、今まで輸入盤などを買っても、ジャケ裏のそれを英語力の無さから読めずにいたのが光が射すようにいろいろわかって面白かったのでした。
また、著者のジャズに対する知識と見識は色々なジャズ評論を読んできた中でも非常に的確で明快、かつわかりやすいものでした。
1950年代前後のジャズ・シーンへの深い理解と、愛情、偏りのない聴き方が私にもよくわかりました。
紹介されているのは、タイトルどおり有名どころのジャズ・ジャイアンツばかりではありましたが、まだまだ知らないことばかり。
これから手持ちのアルバムを聞き直すときには、またちがった心持ちで聞くことができそうです。
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