『上野正彦の「死体学」ノート』を読んだ。
『上野正彦の「死体学」ノート/上野正彦著(PHP文庫)』という本を読みました。
著者は、元東京都監察医医務院長の医学博士。増え続ける自殺、バラバラ殺人、親殺し子殺し・・・30年間で2万体もの“死体”と向き合うことで様々なことを発見し、また、感じたことをまとめたものでした。
最初から知らないことばかり。
私のような一般人には、人が死ぬということで考えること、発想することはお葬式のことばかり。
死体が、時代や人間そのものを監察医にうったえかけてくる、なんてこと考えたことがありませんでした。
監察医として死体と向き合うことで、その人の死に方、また周囲との関係、その時代の社会背景まで見えてくる・・そんなことが書かれていました。
さらに、自殺に見せかけるような他殺体と対面し、そのトリックについても解説しています。
そして、監察医制度というものがわずかな大都市にしか無いということも初めて知りました。
そういえば、千葉では聞いたことがありません。
昨今は、大都市ばかりでなく、地方でも不可解でトリッキーな殺人事件が起こっています。著者が言っているように監察医制度がもっと理解され、地方にも設立された方が良いのでは、と私も感じました。
著者が何度も言っていたことは、死体は私達素人が考えているほど何も語らない・・ということはなく、能弁であるということ。
監察医についてもっと知ってもらい、制度的にも整備され、また地位的にも確たるものになれば、ということでした。
具体的な検屍の仕方についても書かれていて、私にはとても興味深く読めました。
人間の最後についてあらためて考えることになった本でした。
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