南伸坊さんの「オレって老人?」を読んだ。
『オレって老人?/南伸坊著(ちくま文庫)』を読みました。
どんな本かっていうと、人が50歳も後半になったり、60代になり、ふとした瞬間に「オレは老人になっている」と気づく、そんな場面をそこはかとなく書いている・・そんな本でした。
自分が老人だと思ったときはこんなシチュエーションだった、あるいは、自分が老人なだけに、こんなことに腹が立つのか、などなど「それって“あるある”」的なこともあったり、いやまだそんな感じ方はオレはしとらんぞ、と違いを感じるようなお話もあった。
おかしかったのは、「アノホラロボット」の話。
「あの・・ほら、なんてったっけ、あれ、あれ」と言っただけで老人が何を言いたいのかわかってやる、気のきくロボットがあれば!という南さんの願望。
微妙にそれに近づいて行く“こわざ”を利かせて、最後には「そうそう、それそれ」って喜ばせてくれるようなう巧みな返答をしてくれるのが理想(*^_^*)
しかも、ダイヤルを回すと、その答えへの道程時間を調節できるという・・私も欲しいロボットの話が可笑しかったのでした。
南さんは、あるとき肺ガンが発見されて、そのときに「オレは死ぬのか」と思いつつ、そのまま一定期間ほったらかしにしていました。
で、その後検査をしたらガンが消滅していたという話です。
私も思い当たる経験があるのですが、まずは「死ぬかも」と思った瞬間になんでもない自然の光景があまりにも美しく目に映るとおっしゃっていて、私も立ち上がることもままならないまま家を出て病院に向かう瞬間に庭の植物がキラキラと輝いて見えたことを思い出しました。
そして、かつて脳内にMRI検査の結果ピンポン球大の腫瘍が発見されたことがありましたが、数年後に消滅していたことがありました。それも南さん同様、不思議な現象でした。
同じことをあの東儀秀樹さんも高校生の時に経験しているというのをご本人がラジオで語っていたのを聞いたことがあります。
死を覚悟したあとに奥さんと梅見をしに行って、お酒などを飲んだときが人生最良の幸せな瞬間だったのかもしれないとおっしゃっていますが、私もそんなことが幸せなのかもしれないと思いました。
なんでもない瞬間が実はかけがえのない幸せな時なのだ、などと少ししんみりしました。
とにかく、のんびりしているような、でもちょっぴり怒っているような、懐古的でもあり、発見・発掘的でもあるこの本、50代後半から60代、70代のあなたに読んでいただきたい本でした。
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