宝塚歌劇・月組東京公演「I AM FROM AUSTRIA -故郷は甘き調べ-」を観ました。
宝塚歌劇・月組東京公演『I AM FROM AUSTRIA -故郷は甘き調べ-』を観ました。
日本オーストリア友好150周年を記念して公演されているもので、原作ミュージカルは2017年にオーストリアそのものを題材として製作されたミュージカルを宝塚で日本初演として公演するものです。
原作はロングラン・ヒットを記録しているようです。
オーストリアの国民的シンガーソングライター、ラインハルト・フェンドリッヒが綴る楽曲も良く、「故郷」や「家族」をテーマとしたストーリー、そしてコメディ的要素もふんだんに入って、しかもオーストリアの風景や、建物などのセットも宝塚が見事に作り込んでいて全体の出来は良いものになっていたと思います。
何よりもこういう明るくてソロやコーラスの歌唱シーンが盛りだくさんで、コメディ的要素もあって、全員がキラキラと光るような役が与えられる演目は月組向きです。
全体を見た印象としては、娘役トップの美園さくら(みその・さくら)さんが大きく主演娘役として成長している様子が第一に挙げられると思いました。
演技にも歌唱にも、舞台での振る舞いにも、今までよりもひとまわり成長した御園さんを感じました。
ラスト近辺の主演男役・珠城りょう(たまき・りょう)さんとの銀橋でのシーンでは本当に涙を流しながらの力演でした。かなりこのミュージカルに入り込んで演じていることがわかりました。
トップ・スターの珠城さんは、いつものことながら、まるで“宛書き”のようなこの役に真摯に取り組んでいて、珠城さんの持つ優しい感じがこのミュージカル全体に溢れていて良かったと思いましたが、でも、いつもこういう役で、たまにはもっと変化のある役どころを見たいと思いました。珠城さん自身の成長のためにも。
二番手としてすっかり月組にも馴染んできた月城かなと(つきしろ・かなと)さんは、舞台映えもするし、演技も堂々としたものだし、自分の役どころをしっかりと掴んで演技しているし、人を魅了することができる貴重な男役だとあらためて感じました。
特筆すべきは、月組に帰って来た鳳月杏(ほうづき・あん)さん。
もうねぇ、全てがトップスター級の巧さです。演技もいいし、キャラクターづくりもバッチリだし、歌は上手いし、ストーリーを豊かにする幅広く奥深い舞台さばきは文句なしです。この人がいるといないでは月組は大きな影響を受けると思います。
さらに、娘役の海乃美月(うみの・みつき)さんも素晴らしかった。
前々からその演技については文句のつけようがないものを持っていましたが、今回も鳳月さんとの夫婦としての演技は群を抜いていました。
この演目をいいものにするにはやはり、鳳月さん、海乃さんは無くてはならない人です。
歌も良かった!
暁千星(あかつき・ちせい)さんは、割とこんな感じの役が回ってきやすいようですが、彼女のキャラがそうさせるのか、派手でワイルドな役をいつもどおり演じていました。
もっと別の性格のキャラクターも見てみたいのですが・・。
今回はこのミュージカル一本物で公演が成されていましたが、オーストリアなどとのしがらみが無ければ前半の1時間半でまとめられそうな気もしました。
そうすれば、月組の綺麗なショーが後半たくさん見られるのに・・などと無い物ねだりなことを思ってしまいました。
でも、月組らしい、芝居と歌がうまくまとまった作品になっていたと思いました。
来年の鳳月杏さん主演の公演も観てみたいな、と思ったところで今日はおしまい!
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