山本甲士さんの「ひかりの魔女 ~にゅうめんの巻~」を読んだ。
『ひかりの魔女 ~にゅうめんの巻~/山本甲士著(双葉文庫)』を読みました。
著者山本甲士さんの本については、「ひなた弁当」「わらの人」「戻る男」「俺は駄目じゃない」「ひかりの魔女」などを読んできました。
「わらの人」を読んだ時のブログに掲載した感想文については、著者山本さんから直接、私が疑問を抱いたタイトルの謂われについてメッセージをいただいたりして感激したのですが、今回も読んでいるあいだずっと心に何か染み渡るものがありました。
今回の本については、以前、私が「ひかりの魔女」の第一弾を読んで感動していたのを妻が覚えていて、この第二弾を買ってきてくれたのです。
こんな形での第二弾との出会いも、この「ひかりの魔女」らしい感じがします。
偶然なのか、必然なのか、どちらでも“出会い”というものは大事です。本でも人でも、出来事でも、その“出会い”を大事にしたいものです。
この物語の主人公のお婆ちゃんが行くところ、そして出会う人達、皆がささやかな幸せにつつまれます。
そのささやかな幸せにつつまれる人達は、「真崎ひかり」という主人公のお婆ちゃんを通じて物語中どこかでつながっているのですが、喫茶店を営む引っ込み思案の独身女性、社内クーデターによって会社を追われた元社長、倒産寸前の町工場を営む中年夫婦、ラーメン屋の経営に失敗して車上生活を送る男性、などが“ひかりの魔女”と知り合うことによって、何か人生の「ヒント」を得て、人としてささやかだけど幸せ、つつましいけど豊かな家族との生活にめぐりあいます。
それぞれのエピソードを読んでいるだけで、なんだか涙が出てしまうのです。
この本は、私が人間ドックで何度もある待ち時間に読んでいたのですが、待合の椅子でこの本の世界に入り込み、気づくと泣いていました。
人の幸せってなんだろう・・と、この歳になってあらためて再確認することになるのでした。
読後も甘酸っぱくて、つんとくる幸せ感が広がりました。
世の中の不条理や、世知辛さ、人との付き合い方に小さな悩みを持っている“あなた”におすすめの漢方薬的な“お薬”となる本です。
« 飯岡駅に先生の展示を見に出掛けた。 | トップページ | 外山滋比古氏の「ことわざの論理」を読んだ。 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 古本の頁を繰っていて見つけるもの(2022.01.23)
- 中学生時代から今に至るまで、「レコード盤を貸してくれ」「CDを貸してくれ」「本を貸してくれ」と言われる話。(2021.12.21)
- 「日本人も知らなかったニッポン/桐谷エリザベス」を読みました。(2021.10.03)
- 「小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム -名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏-」を読みました。(2021.09.28)
- 坪内祐三の「最後の人声天語」を読んだ。(2021.09.25)
「心と体」カテゴリの記事
- 「老いを愛づる -生命誌からのメッセージ-/中村桂子」という本を読みました。(2022.07.21)
- 「伝言/永六輔」を読みました。(2022.07.15)
- 太田和彦さんの新刊「75歳、油揚がある」を読みました。(2022.07.12)
- 二十年の時を経て、町内のひとたちの心模様は変わっていた(2022.07.05)
- 久しぶりの東京宝塚劇場での観劇を終えて(2022.06.06)
「仕事で生き生き」カテゴリの記事
- 石田衣良さんの「坂の下の湖」を読みました。(2022.08.05)
- 「島耕作の名言集」という本を読みました。(2022.07.20)
- 太田和彦さんの新刊「75歳、油揚がある」を読みました。(2022.07.12)
- 嵐山光三郎さんの『「下り坂」繁盛記』を読みました。(2022.07.06)
- 二十年の時を経て、町内のひとたちの心模様は変わっていた(2022.07.05)
「家族・親子」カテゴリの記事
- 「父の縁側、私の書斎/檀ふみ」を読みました。(2022.08.09)
- 伊集院静さんの「女と男の絶妙な話。-悩むが花-」を読みました。(2022.07.13)
- 映画「シング・ア・ソング! -笑顔を咲かす歌声-」を見て来ました。(2022.05.22)
- 「強父論/阿川佐和子」を読みました。(2022.04.30)
- サヘル・ローズさんの「言葉の花束」を読みました。(2022.04.19)
「しみじみモード、私の気持ち」カテゴリの記事
- 「老いを愛づる -生命誌からのメッセージ-/中村桂子」という本を読みました。(2022.07.21)
- 太田和彦さんの新刊「75歳、油揚がある」を読みました。(2022.07.12)
- 二十年の時を経て、町内のひとたちの心模様は変わっていた(2022.07.05)
- 「一日一言 -人類の智恵-/桑原武夫編」を読みました。(2022.06.30)
- コロナ過で仕事や生活が大きく変化していく(2022.05.12)
コメント