「ブコウスキーの酔いどれ紀行」を読んだ。
『ブコウスキーの酔いどれ紀行(SHAKESPEARE NVER DID THIS)/チャールズ・ブコウスキー著・マイケル・モンフォート写真・中川五郎訳(ちくま文庫)』を読みました。
著者のチャールズ・ブコウスキーは、ドイツ生まれで3歳のときにアメリカに移住。
カレッジ中退ののちアメリカ各地を放浪、その後郵便局に勤務しつつ創作活動をしたとのこと。
100冊に及ぶ著作が刊行されたのだそうです。
それらについては読んだことがないのですが、今回本屋で気になって手に取ったのが、この「酔いどれ紀行」です。
表紙のイラストは、本文中に出てくるブコウスキーの写真から描かれたものですが、そのハチャメチャで無頼な感じが面白そうで、思わず手にしたのです。
中をパラパラとめくってみると、ワインをボトルごと手にしてガブガブと飲み、好き勝手なことを喋りまくり、同行の女性とドイツ、フランスを訪れ、そこで出くわす様々な出来事に体当たりしたり、相手にしなかったり、自由奔放、我が道を行くブコウスキーのほとんどドキュメンタリー的な文になっていました。
ブコウスキーの著作を読んでもいないのに、この私にもその破天荒な著者の性格が面白く、あちこちで朗読会を開くと若者がたくさん集まったり、テレビへの出演でも泥酔してそのままスタジオを飛び出したりする奇行がかえって人々に“ウケたり”して、つまりはこの人の人間的な魅力に惹かれていく人が多かったのだな、と思いました。
ブコウスキーは、1920年生まれで、1994年に亡くなっています。
時代がその奇行、蛮行、暴言なども許すような時代だったのでしょうが、もう今の時代にこういう人が現われるのはなかなか難しいでしょう。
SNSやその他、人を取り巻く環境も変わりました。
今に生きていたら、“炎上”必至、“生真面目”な人達の砲火を浴びたことでしょう。
いい時代に自由奔放に生きた作家の豪快な旅の記録、楽しく読みました。
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