「文豪と酒 -酒をめぐる珠玉の作品集-」を読みました。
『文豪と酒 -酒をめぐる珠玉の作品集-/長山靖生・編(中公文庫)』を読みました。
この本は、漱石、荷風、谷崎、太宰などの作家や詩人、歌人などが書いたウイスキー、ビール、ジン、紹興酒などに思いを託した作品を集めた作品集になっています。
鴎外の作品などは、今の時代の私からみると、かなり“文語調”に感じ、けっこう読むだけでも難儀しました。
「いま着きし汽車にて、ドレスデンより来にければ、茶店のさまの、かしことこことことなるに目を注ぎぬ。」なんて・・わかったようなわからないような・・。
でも、それぞれの文豪らの、酒を巧みに登場させ、演出する文を読んでいると、昨今の小説などに登場する「酒」には、これほどの意味合いや物語への影響は無いな、と思いました。
昔の文豪が書く「酒」は深くて味わいのあるものになっていて、登場人物の気持ちや、時間の経過、小説全体の雰囲気を絶妙に演出しています。
特に印象に残ったのは、岡本かの子の作品に、パリでの食事風景が描かれていて、アペリティフ(食前酒)が語られ、「ペルノーやベルモットなんてポピュラーな食前酒だ」、などと語られていますが、私はたぶん両方とも一度も飲んだことがないかもしれない。
荷風の「夜の汽車」では、女が手にしているのは古風な日本酒でも、汽車内にそぐわない瓶ビールでもなく、やさぐれた焼酎でもない、ウィスキーでした。
懐から取りだして飲むのがウィスキーだからこそしっくりくる、そんなシーンも味わうことが出来ました。
そんなわけで、飲んでもいないのに“ほろ酔い気分”で今回のブログはおしまいです(゚ー゚*)。oO
次は井上荒野さんの小説を読もうかと思っています。
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