別冊ステレオサウンド「菅野沖彦のレコード演奏家訪問<選集>」を読みました。
『菅野沖彦のレコード演奏家訪問<選集> -オーディオ愛好家を訪ねて-(別冊ステレオサウンド)』を読みました。
読み応えありました(゚ー゚*)。oO
これはステレオサウンド誌の1996年から2004年に掲載されたものの選集で、オーディオ界の巨匠、菅野沖彦氏が訪問者となり、オーディオ愛好家の自宅を訪ね、その人の持つサウンド・システムを聴き、“その人の音”に迫るというものです。
何と言っても『レコード演奏家』訪問と謳っているわけで、単にレコードを掛けているのではなく、この本に登場する方達は自らのシステムで“演奏”している、というのが菅野氏が提唱している『レコード演奏』という概念です。
写真の制作者は「写真家」と呼ばれるが、レコードの制作者は「レコード制作家」とは呼ばれない(残念だ)、そして優れた機器や物理特性はツールと手段に過ぎず、肝心なのは知的感性と豊かな経験だ、それを生かしてレコードを再生するのが「レコード演奏家」というわけです。
・・わかります。
特にこの本にも登場するジャズ喫茶「ベイシー」のマスター、菅原正二さんなどはそのレコード演奏家の最たる方なんじゃないでしょうか。
菅原さんは常日頃、「僕は演奏している気分でレコードをかけている。レコードをかけることはバンドで演奏することとまったく同じことだ。」とおっしゃっています。
私も一度だけですが、一関市のベイシーにその演奏を聞きに行って来ましたが、私がいつも聞いているものとは“別もの”の音楽が流れていました。生演奏とも違う、単なるオーディオ再生とも違う、まさに演奏されているジャズでした。
この本に登場するのは、録音のプロや、プロデュースなどをしている方など、仕事で音に関わっている人もいたのですが、皆、仕事とは別に自分の部屋で自分の音世界を創り出していました。
菅野さんの巧みな解説で、どんな音なのか何となく想像できてしまいそうなくらいの内容で書かれているのですが、どの人もそれぞれが自分の音を追求し、常にそれに向かって研鑽している様子がわかりました。
皆、それぞれがまったく異なるスピーカー、アンプ類などを用いているのですが、それらを写真で見ているだけで、こちらの想像は膨らみましたねぇ(゚ー゚*)。oO
大音量でインパクトあるサウンドや、小音量でもその人のワールドが見えてくるような音、とことん滑らかな音を目指している人、この楽器をこういう音で鳴らしたい・・という形で追い込んでいる人、などなど・・。
200頁を超えるものだったのですが、あっという間でした。
読んでいるだけで楽しくてわくわくするような本でした。
オーディオ好きな方は本屋で見つけたら、ちょっとパラパラとめくってみてください、面白いですよぉ。
« 「こころのサプリ/五木寛之」を読んだ | トップページ | 久しぶりに映画を見ました「イップ・マン 完結」! »
「音楽」カテゴリの記事
- 鮎川誠さんが亡くなった(2023.01.31)
- 高橋幸宏さんが亡くなって(2023.01.17)
- 中学時代の先生が開いた「レコード・コンサート」に行って来た。(2022.11.22)
- 「オーディオの作法/麻倉怜士」を読みました。(2022.08.06)
- 石田衣良さんの「小説家と過す日曜日」を読みました。(2022.06.17)
「趣味」カテゴリの記事
- 「お茶席の冒険/有吉玉青(たまお)」を読みました。(2023.01.08)
- 「天才アラーキー写真ノ方法」を読みました。(2022.10.17)
- 中島誠之助さんの「骨董掘り出し人生」を読みました。(2022.09.17)
- 「森村誠一の写真俳句のすすめ」という本を読んだ。(2022.09.10)
- 寺島靖国さんの「My Room My Audio -十人十色オーディオ部屋探訪-」を読みました。(2022.08.01)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 古本の頁を繰っていて見つけるもの(2022.01.23)
- 中学生時代から今に至るまで、「レコード盤を貸してくれ」「CDを貸してくれ」「本を貸してくれ」と言われる話。(2021.12.21)
- 「日本人も知らなかったニッポン/桐谷エリザベス」を読みました。(2021.10.03)
- 「小林信彦 萩本欽一 ふたりの笑タイム -名喜劇人たちの横顔・素顔・舞台裏-」を読みました。(2021.09.28)
- 坪内祐三の「最後の人声天語」を読んだ。(2021.09.25)
「オトナのグッズ」カテゴリの記事
- なかなかブログ等書けませんでした。(2022.12.27)
- 依存度に差はあれ、携帯・スマートフォン無くしては生活が大きく乱れること実感。そして買ってきた切手の話。(2022.12.18)
- 携帯電話入院中にいろいろ考える(2022.12.07)
- 中学時代の先生が開いた「レコード・コンサート」に行って来た。(2022.11.22)
- 整理した本、第一弾を売ってきた(2022.11.01)
「Jazz」カテゴリの記事
- 中学時代の先生が開いた「レコード・コンサート」に行って来た。(2022.11.22)
- 寺島靖国さんの「My Room My Audio -十人十色オーディオ部屋探訪-」を読みました。(2022.08.01)
- 「東京ジャズメモリー/シュート・アロー著」を読みました。(2022.02.22)
- CDジャーナルのムック本「台湾人ジャーナリストが見たニッポンのジャズ喫茶」を読みました。(2022.01.06)
- 今年もJR飯岡駅併設の「海上ふれあい館」でのレコード鑑賞会に出掛けました。(2021.11.22)
コメント