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2020/08/30

【The Beatles 研究室・復刻版】Let It Be[B-3]The Long And Winding Road

Letitbe
2004年から2008年にかけて作成したホームページ「The Beatles 研究室」・・2009年リマスター発売後の一部追記も含めてのブログにての復刻版です。
ほぼ当時のまま、そして復刻後追記も付しております。15年以上前の文なので細部の表現・事実についてはお見逃しください。
久しぶりの今回は、アルバム「レット・イット・ビー」から、ポールの名曲「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」を取り上げてみました。
20200830_beatles_photo_data001

ポールが作ったバラードの最高傑作かもしれません。事実ポールはこの曲が好きで解散後もコンサートや、自分の映画でも演奏を聞かせてくれています。

ただし、このアルバムのバージョンはポールの意思とは関係なくプロデューサーのフィル・スペクターが荘厳なオーケストラとコーラスをオーバー・ダビングしてポールの意図するものとは正反対の仕上がりになってしまい、何十年も経た今でも、まだ根に持っているようです。

何年か前のチャリティ・コンサートかなにかで、フィルとステージが一緒になってしまったときに「オーケストラをオーバー・ダビングするアレンジをされる前に早いとこ歌わなきゃ」などと茶化していたようですが、けっこう本気だったのかもしれません。

現在では、この曲を正規盤で聞くことができるのは、「アンソロジー3」の元々のオリジナル・バージョン、「Let It Be Naked」のリニューアル・バージョン、そしてこのアルバムのフィル・スペクターアレンジによるバージョンです。

アンソロジー3のものは、ブートレグで聞くことのできる本来のゲット・バックという発売される予定だったものに入っていたものとほぼ同じもので、ポールの意図していた静かで、美しい、そして哀しい素晴らしい元祖オリジナル・バージョンと言えるものです。
なかなかの良い出来で、ブートレグで最初に聞いたときは、心がまさにこの曲の歌詞のように、洗われるようでした。

そして、ネイキッドのものは、映画「Let It Be」で使われたテイクです。
素晴らしいミキシングによって、ポールのボーカルがまるですぐそこで歌っているかのようにリアルに聞こえます。
そして、とても柔らかい、素敵なボーカルに仕上がっています。
間奏のビリー・プレストンのオルガンもフィーチャーされて、これも素晴らしい演奏です。さすが、唯一競演したミュージシャンの中でBeatles With ・・・とクレジットされただけのことはあります。完全に5人目のビートルズと化しています。

最後にこのアルバムのバージョンは聞き比べるとウォール・オブ・サウンドと呼ばれるフィルの重厚・荘厳なサウンドが逆にBGM的に美しく、軽く聞こえてしまいます。
そこのところを評論家はこっぴどく批評して、ポールの曲を台無しにしたと酷評しているわけです。
ですが、私は逆にこのバージョンを聞くと消えゆくビートルズと歩んだ長く曲がりくねった道のりをポールが「嵐の夜は雨に洗い流され、一夜明けるとそこには涙の池が残っている」と歌い、このなぜか重厚なはずなのに、うすら寂しく聞こえるサウンドと相まって悲しさが余計に増し、涙してしまうのです。

楽曲の良さを表現しているのは、元々のオリジナル、ポールのボーカルとバンドサウンドを生かしているのはネイキッド、ビートルズの衰退を表しているのは、このレット・イット・ビー収録バージョンだと思います。

そして、ポール二度目の来日の時だったかと記憶していますが、ポールはこの曲のアレンジをこの一番気に入らないものに近い形でやっていたように記憶しています。
ようするに、レコードを聞いていた人には、これでなきゃって人がいるのかもしれないことをポールが当時悟っていたのではないかと思ったのですが、これは私の考え過ぎでしょうか。
特にポールの曲、ビートルズの曲って、間奏などレコードどおりが一番正解なような気がファンにはしてしまうのではないかと・・・。
あくまで推測です。

最近のエピソードでは、USツアーの最終日にこの曲を最後に歌おうとした時にツアーに何ヶ月も帯同していたスタッフが客席に回り、いっせいにハート・マークのプラカードを上げるシーンがありました。
ポールは“わっ”と泣いてしまい、歌えなくなってしまいました。大好きな曲のときに大好きな人たちから“愛”を表現され、胸にジーンときてしまったのでしょう。

私はこの曲を聞くときには、いまだに、居住まいを正してから聞いてしまいます。
ポールにとっても私にとっても人生の中で大事な曲です。


〈追記〉2020/08/30

今回、「Beatles-1」のバージョンを 2000年の時のものと、最新のものとで聞いてみました。
2000年の「1」は、それなりに音も良くなっていましたが、「Let It Be」のアルバムのちょっと輪郭がボケたような部分がまだ残っていました。
そして最新バージョンの「1」は、すっかり“視界が開けた”感じでした。
「長く曲がりくねった道を抜けた」・・d(^_^o)みたいな印象。
雨も上がり、空気もきれいになったようなクリアですっきりとした「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」になっていました。
聞きくらべてみると、単体で聞いたときには気づかないことがあるものです。
「1」のこのバージョンは聞き応えがありました。

後々、この曲のアルバム・バージョンをアレンジしたのは、ポールがソロになり作ったアルバム「ラム」のオーケストラ・バージョン「スリリントン」を製作担当したリチャード・アンソニー・ヒューソンだったのだ、という話を聞きました。
うろ覚えで申し訳ないのですが、そのラムのオーケストレーションを任せるくらい、ポールはヒューソンを信頼していたのだという・・ことなんですよねぇ。

ってことは、「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」のあのアレンジは、それ自体がイヤだったというよりも、ポール抜きであのアレンジを進めてしまったその行為についてポールは怒っていたのかもしれません。

であったとすれば、それはそれで、なんだか嬉しい話です。

今や、様々なバージョンで(ポール、ソロ活動でのライブ・バージョンも含め)この曲を聞くことが出来ます。
私たちファンは、それぞれの“味わい”を楽しめる、いい環境にいることを喜べばいいんですね(゚ー゚*)。oO

 

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