「日本人の忘れもの/中西進」を読んだ。
『日本人の忘れもの/中西進著(ウェッジ文庫)』を読みました。
2007年に第一刷が発行されたものですが、その時代でもけっこういろいろと批判されそうというか、時代がどんどん変わっていって、書きづらいようなこともたくさん書かれていました。
昭和4年生まれの著者だからこそ遠慮なく書けた内容なのかな、と思いました。
だから逆に読んでいるこちらも昭和世代ですから、すっきりすることも多々ありました。
私がこれはいいな、と思ったのは下記のような章でした。
「日本人は色恋をした」という章では、そもそも「いろ」という言葉が親愛の気持ちを表わすものであったということから話が始まり、兄弟・姉妹を「いろ」と言っていた時代があったとのこと。
知らなかった。
「いらつめ」という敬称がかつてはあって、「いろの女」という意味で、もっぱら貴婦人に用いられたのだそうです。「いろ」には尊敬の心から込められていたんだそう。・・へえ~・・。
男性に対しては「いらつこ」と言うのだそうです。
「いろ」が色彩をあらわすことは、今も昔も変わりませんが、“親愛”と“色彩”とが同じ言葉で表現されるというのは、現代人にとってはむずかしいです。
好きになって心の色を輝かせている・・男女が好きになると思わず発揮してしまう心の彩りが「色恋」なんだ、って考えると、なんだかいいなと思いました。
そんな話がいくつも載っているこの本、日本人として生きている自分について、あらためて風情を感じながら考えることになるものでした。
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