「アガワ対談 傑作選・追悼編」を読みました。
『「聞く力」文庫3 アガワ対談 傑作選・追悼編/阿川佐和子(文春文庫)』を読みました。
460頁を超える長丁場でしたが、でも疲れることもなく、面白く読みました。
「追悼編」ということで、阿川さんが対談された方で既に亡くなられた方達との対談を編集したものです。
ジャイアント馬場さんや三國連太郎さん、勝新太郎さんなどのヒーロー編で登場する方々の破天荒というか、高倉健さんや忌野清志郎さんも登場するのですが、対談の中で出てくる話は独創的で、私たち常人には考えもつかない世界観を持っているし、自身の人生・仕事の歩み方は誰にも真似できるものではありません。
もう、こういう人達は現在にはほとんどいないと思われました。
映画監督との対談を集めた「名監督編」も読んでいると、あまりにも独善的というか自分の監督感が一番だという人ばかりで、何が起こっても動じない、頭の中で描いた世界を映画というものの中で実現するためには何ものをもいとわないという人間像が浮かび上がってくる方ばかりでした。
まあ、絶対に付き合いたくないタイプです…σ(^_^;)
「生きて、働き、恋して 編」では、小林カツ代(料理研究家)さん、加藤シヅエ(女性初の国会議員)さん、山田五十鈴(女優)さんらが登場しますが、読んでいていちばん怖かった (・_・;です。
人類とは別の生物じゃないかと思うくらい“自分・自分・自分”中心の人生を歩まれ、もう誰にも近づけないような孤高の人という印象でした。
「笑いの達人編」では、小沢昭一さん、植木等さん、赤瀬川原平さん、赤塚不二夫さん、夢路いとし・喜味こいしさんとのインタビューとなっていました。
こちらも独善的といえば独善的でしたが、もうちょっと可愛い感じ・・。
ま、しょうがないか。「わかっちゃいるけどやめられね」って感じか?
そんなちょっとユーモアのあるインタビューとなっていました。
全体を読んでいちばん感じたのは、聞き手、阿川さんの対応力です。
どの人もこの人も、“我が儘”で、こうと思ったら一直線みたいな人ばかりで、時には阿川さんにちょっとこわい“突っ込み”をする人もいました。
それを対談相手それぞれの異なる対処をしているのに驚きました。
サブタイトルに「聞く力」とうたわれているだけのことはありました。
阿川さんの「聞く力」は通常のインタビュアーには到達できない境地にあると感じました。
このシリーズ、何冊もありそうなので、ブックオフで見かけたら、また買い求めて読みたいと思います。
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