黒川伊保子さんの『いい男は「や行」でねぎらう いい女は「は行」で癒やす』
『いい男は「や行」でねぎらう いい女は「は行」で癒やす/黒川伊保子著(宝島社新書)』を読みました。
黒川さんは「妻のトリセツ」などの著書ですっかりお馴染み、私はテレビをほとんど見ないのでラジオによく出て“夫婦関係”をどうやってよくしていくのかなどを語る黒川さんの登場頻度に驚いています。
しかも話が明解で面白いっ!単なる脳科学・AI研究者ではない、人間的魅力のある方という印象です。
今回の本は、五十音のうちの特徴あるものについて、これをうまく使うと人と人の関係に“使えるよ”、というものを丁寧に考察・説明してくれています。
私が気になったのは「ふ」の項。
「ふ」は時間を止める、という効果があり、別れるそのとき、ほんの刹那でいいから時間を止めたい・・そんなとき、「ふっ」と息を吐く・・という黒川さん。
デート最後の「ふっ」は“魔法の終わり”ふんわりと散る息が、過した時間を幻想にしてしまう。
「ふ」で始まり、「ふ」で終わるデートは、けっこう永遠、オトナになったら、現実に持ち込まない、生々しくない、そんなデートの相手をひとり持っているとステキだと思う。
・・という、黒川さん。
帰り道に、現実の幸福(夫、妻)に感謝する、幻想の恋。
そんな幻花のひとつやふたつがあってこそ、夫婦は深くなっていくのかもしれないね。
・・だって。
夫がいて、夫のことをいつも書いている黒川さん、こんなこと書いていいのか、とも思うけど、でも、上記のことはある意味大切なことかもしれない、と思いました。
あとは言わない。
また「の」についての項も気になりました。
「神宮“の”イチョウ並木が色づいたの。一緒に散歩して」
「焼き鳥“の”おいしいお店見つけたの。行かない?」
「の」の入ったことばは、事実を“ものがたり”に変える「音韻効果」があるとおっしゃっています。
この「の」については、宮崎駿の映画タイトルに多用されています。
「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「隣のトトロ」「魔女の宅急便」「千と千尋の神隠し」などなど。
ここにひとつの“異世界”があります。ということをうまくタイトルで表現しています。
その他この本では「は行」「な行」「さ行」などなど、様々な例が示されていて、実に興味深いものがありました。
自分が使っている言葉についても再点検してみようか、と思ったのでした。
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