池波正太郎さんの「むかしの味」を読みました。
『むかしの味/池波正太郎著(新潮文庫)』を読みました。
昭和59年に新潮社から刊行されたものの文庫化で、それも昭和63年のこと。その時点で二十三刷なので、かなり読まれてきた本だと思います。
それをいつもどおりブックオフで110円にて手に入れたものですd(^_^o)
読み始めてすぐに思ったのは、文章がわかりやすく、流れるようで、美しく、淀みない、ということでした。
だからとても読みやすい!
尖っていてなんだか喉につかえたような嫌味なところなんてひとつもない。今どきの文筆家にはほぼ絶滅したような優しい文章です。
書き込み不足、説明不足なのにそれに気づかず、理解を読者まかせにするようなこともない、これも今どきの文章を書く人に見習ってもらいたいくらいでした。
池波さんが馴染だったお店の料理、そしてそのお店の先代の主人や跡を継いだ二代目、さらに健在である先代の奥さんなどの人柄についても触れながら、たいめいけんのポークソテー、煉瓦亭のポークカツレツ、その他栗ぜんざい、クリームソーダとアイスコーヒー、蕎麦、鰻、焼きそば、焼売、チキンライス、ミートコロッケ、おでん、カレーライス、かやく御飯と粕汁、ホットケーキ、うどん、炒飯・・もう枚挙に暇がないですが(^_^;)それらの美味しさについて愛情溢れる言葉で語っています。
それから、池波さんご自身が少年だった頃に両親が連れて行ってくれたお店や、そこで食べたもの、また屋台で売りに来た「どんどん焼」の話。屋台のおやじに留守番を頼まれ、腕を見込まれて子供なのにどんどん焼を焼いて売ったり、新しい種類のどんどん焼を自ら作って主人にほめられ、それがほんとうに商品化されたり(#^.^#)と、池波少年大活躍です(*^_^*)
たしかに美味しかった記憶の「むかしの味」について、見事に美しい文章で書かれた“名著”と読んでもいい良書でした。
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