「東京百景/又吉直樹」を読みました。
『東京百景/又吉直樹著(ヨシモトブックス)』を読みました。
あの芥川賞を取った「火花」の前に書かれたものです。またもやブックオフにて購入。
これは「火花」の物語が始まる前の頃について主に書かれていて、子供の頃の母親との思い出についても書かれていますが、それから高校でサッカーをやっていた頃のこと、そして芸人めざして東京にやってきてからのことが一番多く書かれています。タイトルが「東京百景」なのですから。
又吉さんは私が思っていたよりも、ものごとに対して“臆病”で、しかも“考え過ぎ”も度を超して、多くのことが“空回り”しているような上京後の生活、仕事をされていたことがわかりました。
でも、「あきらめず」に、“体当たり”していくわけです。
“当たって砕けろ”とばかりに窮地に立っても“ぶち当たり”、そしてことごとく“砕け散って”いきます( ̄O ̄;)
さらに、時には事実かと思って読んでいると、妄想の世界が繰り広げられ、そのときには又吉さん独自の「描写」が冴え渡り、奇々怪々ではあるが、とても文学的な表現が素晴しく、のちの「火花」へとつながっていったのだなと思いました。
芸人の先輩や後輩に対する態度や、気持ちの持ち方についても、自分を客観視しているもうひとりの又吉さんが感じられ、それが見事に文章表現されているので、またまた又吉さんの魅力が感じられるのでした。
単に東京の様々なところに存在したときの又吉さんの“うわべ”の姿ではなく、心象風景も描かれている、そんな本でした。
又吉さんだと意識しなくても、おもしろい!そう思いました。
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