「談志楽屋噺」を読んだ。
『談志楽屋噺/立川談志著(文春文庫)』を読みました。
ブックオフで入手、オリジナルの単行本は昭和62年2月の白夜書房から出ています。
この本に出てくる楽屋の談志さんは、まだ若手で、入門時の「小よし」、二ッ目の時の「小ゑん」時代の話題が多く、楽屋にいる師匠の面々、談志さんの仲間の噺家についても、私の知っている人が少ない。
たまに聞いたことのある名があると、先代、先々代だったりします(^_^;)
それでも、この本に書かれている時代の噺家や、講釈師たちの逸話は破天荒で面白く、単に愉快な話題が満載の本というわけではなく、この時代の芸人や街の風景、風俗、流行などの貴重な資料的価値もあるものだと思いました。
談志さんも、書きながら「書いておけば後々、誰かが見てくれる」というようなことを言っています。
私でさえ、興味深く、面白く読むことが出来たのですから、私よりも十歳くらい年配の方などには、懐かしい顔ぶれや、当時の様子がふつふつと蘇ってくるのではないかと思われます。
この本に登場した噺家などで、私の知っている方では、後の「橘家圓蔵」、「月の家圓鏡」さん。談志さんの“いたずら”や、“洒落”に付き合い、けっこう大変な思いをしていましたが、それでも仲良くやっていました。
また、私も当時のテレビなどで、かすかに覚えている奇術の「アダチ龍光」さんを、談志さんがとても慕っていて、尊敬していることもわかりました。
アダチさんが老齢になり、完全に引退してから、談志さんが寄席の舞台に呼んでかつての奇術を披露する場面などでは、談志さんだけでなく、私も涙ぐんでしまいました。
いたずらも過ぎる、というようなひどい話もありましたが、上記のような人情の機微にふれるような話も満載の、なんだか懐かしい本、読んだ甲斐がありました。
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