東海林さだおの「ガン入院オロオロ日記」を読みました。
『ガン入院オロオロ日記/東海林さだお著(文春文庫)』という本を読みました。
著者の東海林さんが、「肝細胞がん」の診断を受けるところから始まり、今まで入院という“入院”をしたことのなかった東海林さんが医師から宣告というほどの重さもなく、告知をされて、さあ入院ということになり、病院での出来事をいろいろと書いている・・というものでした。
で、私も今年一月に入院して、三週間の入院を経て退院し、今に至っているのですが、私が入院が決まり、実際に入院してからも、いろいろと心配し、最終的には自分が生きて帰れるのかまで考えて、家族のことを含め“地獄の底”にいるような気持ちになったのとは、基本的に東海林さんの様子はかなり異なっていました。
手術は麻酔で完全に眠っている間に終わり、L字形に40センチも切ったお腹を見ても、悲壮感などは感じさせない書きぶりでした。
さすが、“物書き”と思わせる、観察力!
自分だけでなく、周囲の様子、他の患者さんの様子もよく観察されて書かれており、プロっていうのはこういうもんなんだ、と驚きました。
私もそうでしたが、ベッド上では身体中に管がくっつき、電線も何本も出ているような状態になるわけです。私はベッドから起きられるような状況に至るまでには二週間くらいかかったのですが、東海林さんは歩けるようになると、自分から出ている管と線が繋がっている機器をまとめてガラガラと歩けるローラー付きの台のようなものの正式名称を調べ、「イルリガートル台」いとう名前であることを突きとめます!(^_^;)
それに接続されている管の数などで、患者のヒエラルキーが決まったら面白いなどと思いを飛躍させます。・・もう、ここら辺で普通の人じゃないことがわかります。
私は、ベッドから降り、そのイルリガー・・台を引っ張るようになっても、治って家に帰り、家族の顔を見たい・・と、それしか考えていませんでしたが、東海林さんは今ある自身の状況を“楽しむ”くらいの気持ちになっているわけです。
考えられない・・( ̄O ̄;)
イルリガートル台に乗せられている自分の「尿」を溜めているバルーンの中味の色が濃いと恥ずかしいとか・・もう文章のエンターテインのためならなんでも書いちゃうそのプロ意識にただただ驚いたのでした。
で、後半は、この入院とは関係のない話になるのですが、前半が強烈過ぎて、後半はまったく面白く感じることが出来ませんでした。
何を書いても“普通のこと”に読めてしまい…σ(^_^;)盛り上がることなく読了しました。
前半が凄すぎたね・・。
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