安西水丸さんの「東京美女散歩」を読みました。
『東京美女散歩/安西水丸著・絵(講談社文庫)』を読みました。
そして、水丸さんの東京の風景と美女の絵も見させてもらいました。
著者の安西さんは、1942年生まれ。2014年に亡くなっていますが、この本は、2007年~2014年に小説現代に隔月掲載されたものの文庫化です。
東京のあちこち・・上野・浅草、大塚・池袋、佃・月島、お茶の水・神田神保町、自由が丘、麻布十番、銀座、渋谷、神楽坂などなど・・を安西さんが気の向くまま、けっこう精力的に巡ります。
そしてタイトルどおり、美女を探し、安西さんの「絵」で、その地の風景と共に見せてくれます。
それに赴いた先の歴史的なことについてもかなり深く掘り下げていて、私の知らない過去の東京が見えてきました。
安西さんは東京で育っているので、単に調べたことが書かれているのではなく、安西さんの瞼に焼き付いている実際の光景や人々の姿なども、読んでいるこちらは楽しめました。
安西さんには、例えば銀座を歩いている女性というのは、“こんな美人”でなきゃいけない、という確固たるものがあり、そういう見方で、東京各所の美人を探します(^_^;)
当時流行っていたのか、“レギンス”をはいた女性を見ると、ほんとうに嫌そうな様子・・。
そして、訪ねる各所に、安西さんの歴史の中にいる女性の想い出としての影が現われる。
もうねぇ、驚きました。
こんなに年齢層もタイプも異なる女性と“関係”していて、ちょっと調べ出すと誰だかわかるようなくらいギリギリで書いていて、大丈夫なんかい?と思いましたが、安西さんはすでに亡くなっているからそれでいいのか・・。
でも、その女性ごとのエピソードもなんだか面白いのですd(^_^o)
また、あちこち探索しているうちに、美女と出会ったりすると、即座に声をかけることも多く、かなり“立ち入った”ことまで聞いてしまいます。でも、それが安西さん流の女性との接し方なのでしょう、あっという間に関係性を築いてしまいます。
・・この年代の人の、このやり方は、過去私の先輩でもいましたが、もうこういうことが出来るような男はほとんどいないです。絶滅危惧種・・。
400頁以上にわたるボリュームでしたが、とても“濃い”、“男の本”でした。
安西水丸さんの、男のダイナミズムと、東京の歴史的風景が楽しめる長編本でした。
ガッツがあり、エネルギッシュな男向けの本なのかもしれない。
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