「知っておくと役立つ 街の変な日本語」飯間浩明著を読みました。
『知っておくと役に立つ 街の変な日本語/飯間浩明著(朝日新書)』という本を読みました。
著者の飯間さんは、「三省堂国語辞典」の編纂を仕事にしている日本語学者。
その飯間さんが街を歩いていて見つける・・というか、けっこう貪欲に新しい言葉、表現、最近目につく変わった文字などを探して、分析、さらに今後辞書に載せた方がよいのか、などと考えていく、というような内容になっていました。
新しい言葉、単語、表現などには、私もいつもテレビ、ラジオ、新聞、雑誌などのメディアで気になっています。
でも、著者・飯間さんの街での「言葉」探しにはすっかり脱帽です。
そんなの気づかないよ、というようなところにまで目が届いていて、驚いたのでした。
ものすごくたくさんの言葉が取り上げられているのですが、私が気になったものを少しご紹介したいと思います。
【立ちそば】
このブログで一度ご紹介した本に「立ちそばガール!/イトウエルマ」というのがありましたが、いまや「立ち食いそば」から「立ちそば」に変化しているのですね。
特に若い人は、もう「立ち食いそば」という言い方自体を知らないかもしれない。
この本でもタレントがテレビで発言していた、と書かれていました。
【ほぼほぼ】
これは2010年代からよく耳にするようになった、と書かれていました。
三省堂の「今年の新語」という催しで、2016年の大賞になったそうです。
「ほぼ」は90%で、「ほぼほぼ」は95%くらいの表現か、と、2016年の朝日新聞記事に載っていたそうですが、著者の知人で「この言い方が許せない」という人がいる、とも書かれていました。
実は私もなんだか「ほぼほぼ」を使うヤツを“いいかげん”で“あやしい”ヤツと思っているのです…σ(^_^;)
以前、IT部門の職場にいたときに、IT業者も、自分の部下も、「二週間前に頼んだ書類出来てる?」って聞くと、「ほぼほぼ出来ています」と答えて、「いいから見せろ」と見てみると30%~40%しか出来ていない、ってのがほとんどでした。
そもそも「ほぼほぼ」を使うヤツが“ほぼほぼ”いいかげんなヤツなんです(^_^;)
【低頭族】
「あるきスマホ」はやめましょう、という駅の広告の中に、中国語で書かれた警告文があり、《専心走好路 別当低頭族。》となっているのを著者が発見。
「低頭族」というのは、スマホを見ながら頭を低くして歩く人のことで、2012年頃から中国語圏で広まった言葉だそうです。
中国語にも面白い新語があるものだと思いました。
【立てれる】
著者が夜のバス車内のディスプレイで発見したものです。
「これからも皆様のお役に立てれるよう・・」となっていて、これを“れ足すことば”って言うんだそうです。
「お役に立てるよう」というところに、「れ」が足されているのです。
中部地方や岡山、高知、大分などで点在して見られる表現だそうです。いかにもありそうって私も思いました。
【ブックオフさん】
看板に描かれた地図や、チラシに入っている地図などにも、自分の店への案内地図上の目印になるような店舗、建物について例えば「千葉銀行さん」などと「さん」づけして書いているものについても著者が指摘していました。
店名に敬称?と思いますが、私もチラシなどでよく見かけます。
「エネオスさんを左に曲がり」などと書かれています。
地元で、お店同士が〇〇さんと、さんづけで呼び合うことはあれども、地図でまで“さんづけ”はいらないんじゃないの?!って思います。
最近、バンド名に“さんづけ”しなかったとネット上で怒っている人がいたらしいけど、あんた「ビートルズさん」なんて言う?!
「次にかける曲は、“ポリスさん”のシンクロニシティです」って言う?!
おまわりさんが歌っちゃうかもよ!(^^;)「こまってしまってワンワン・ワワ~ン」って(*^_^*)
長くなってきたので、感想は以上です。
最近、「新明解国語辞典」の第八版が出たっていうから、ちょっと本屋さんで見てみようと思っているところです。
【Now Playing】 It Might As Well Be Spring / Bill Harris ( Jazz )
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