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2021/05/24

小川洋子さんのエッセイ「カラーひよことコーヒー豆」を読みました。

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『カラーひよことコーヒー豆/小川洋子著(小学館文庫)』を読みました。

このエッセイ集は、雑誌「Domani」に2006年から2008年まで掲載されたエッセイに書き下ろしを加えて2009年に刊行されたものの文庫化です。

掲載された雑誌の性質上、仕事・私生活などに手を抜かず頑張っている女性向けな感じに書かねばならなかったプレッシャーからか、最初のうちは著者の小川さん、仕事をする女性について正面から取り組んで書いていました。後々にはだんだんとリラックスした文になってきたわけですが。

まずは、働く女性として集金にやってくる郵便局員さんの手際の良さと、普通の人とは違う威厳が感じられる様子が書かれていました。

私も小さい頃に郵便局の人が集金にやって来て、玄関の上がりがまちに腰を下ろし、母親がお金を渡すと、あの大きな黒い鞄からさまざまなものを取りだし、テキパキとハンコを押したり、記入したりしている様を見てあまりの手際のよさに“快感”に近いものを感じながら見た記憶があります。
まさに“働く人”、“プロ”でした。
そして、著者の小川さんと同じように、「こういう“プロ”の人になりたい」と思ったものでした。

次に私の心に残ったエピソードは、職場の同期の人達と喫茶店に行き、おしゃべりをして憂さを晴らしていたシーンでした。
次第に誰かの悪口になり、皆が心に溜まっていたすべてを吐きだし、疲れ果てて、ふとため息をついたときに・・気の強い先輩から目をつけられ、辛く当たられていた同期の女性が、「全くそのとおり。意地汚い人、わがままな人、いつも機嫌が悪い人、いろんな人がいる」と言い、皆がうなずき、「いろんな人がいる」と呪文のように唱えていたら悪口を言うのがばかばかしくなってきた、というお話でした。

そう、いろんな人がいて、いろんなことが起きて、いろんな思いをして、日々は過ぎていくのです。
あらためて、しんみりとそう思ったのでした。

次に気になったエピソード。
著者はずいぶんな“音痴”らしいのですが、人々の前で静かに歌を歌うと、絶望している人達の心にそっと忍び込み、凍えた胸を温め、遠くに希望の光をともすような歌声で歌いたい・・・という願望が披露されていました。

ちなみに、その歌声はカーペンターズのカレン・カーペンターのような歌声だという。

私の学生時代、土曜日に学校から帰り、午後のひととき、FMラジオのスイッチを入れ、ベストテン番組を聞くと、カーペンターズの曲がよくかかっていました。
小川さんのおっしゃるように、そのときのカレンの歌声は天国からやってきたような素敵なものでした。
なんてぜいたくな午後だったのだろう、と今にして思います。普通にラジオからカーペンターズの曲が当たり前のように流れていた時代。

最後にもうひとつのエピソード。
著者は、何に対しても自信の持てない性格であるとおっしゃっています。
気安い友達と楽しく食事したあとでも、「あんなこと言わなければよかった。気を悪くしたんじゃないだろうか。どうして私はいつもこうなんだろう」と、あれこれ後悔の念にとらわれる、というのです。

私もまったく同じです。
「調子にのってしゃべり過ぎた。きっと、聞きたくもなかったことばかりだったろう」などと考えると、いてもたってもいられなくなるのです。
寝る前などには、胸を掻きむしりたくなるくらいです。

こういうときの脱出方法はなんだろう、と思います。
小川さんは、姪のところに電話し、二歳の声を聞くことだと書かれていました。
私はどうすればよいのだろう。
・・ああ、中学時代の担任の先生に電話して他愛もないことで話が盛り上がると、少しおさまってくるかも。


【Now Playing】 I Will / The Beatles ( Rock )

 

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