阿川佐和子さんの「あんな作家 こんな作家 どんな作家」を読みました。
『あんな作家 こんな作家 どんな作家/阿川佐和子著(ちくま文庫)』を読みました。
ブックオフで超安価、1992年に刊行され、2001年に文庫化されたものです。
とても古い本なので、数々登場する作家の方々も既に亡くなられている方が何人もいらっしゃいました。
直木賞をとった山口洋子さんも登場していました。
五木ひろしさんの「横浜たそがれ」の作詞でも有名な方です。
19歳で銀座のクラブのママになり、経営者、作詞家、エッセイスト、スポーツ記者、小説家・・( ̄O ̄;)と、次々に新しい才能を発揮された方でした。
人から戴いた誠意は、戴いたときと同じ温度で返そうという信念を持たれていた山口さん、こういうアグレッシブで、投げられたものをきちっと受けとめて、投げ返しながら人生を突き進むような人、今の世の中、皆無だと思います。
私利私欲、損得勘定ばかりが最優先される現代に山口さんのお話を聞くと、自分もかつて抱いていた何かを目指して生きて行くような気持ちを思い出しました。
C.W.ニコルさんもインタビューを受けていました。
当時の知床国有林の伐採問題について、憤っていました。
森や動物の生態、自然と人間の付き合い方について熱心に語られていました。
今、猛威をふるっているコロナウイルスも、もともとは人間が未開の地を開拓し過ぎたことが問題なのではないかと言われています。自然の保護が私たちの命を守るのだということを当時から説かれていたのです。
もうひとかた、私にも懐かしい人、遠藤周作さんも登場していました。
敬虔なキリスト教者としての純文学で芥川賞を取り、一方では“狐狸庵先生”として愉快なエッセイも数多く書かれていました。
阿川さんのお父さんを訪ねて阿川宅にも何度も行っていた遠藤先生。
阿川佐和子さんが大声で弟と喧嘩している様子もよく聞こえていたとのことで、年頃の娘がいない遠藤さんは、そんな娘を持つ父親の心の葛藤を描いた作品「父親」を阿川家を元に書いたのだ、などと告白しています。
どうりで、小説中、聞いたような会話が頻繁に出て来た(^^;)と、佐和子さん。
こんなエピソードが、登場するそれぞれの作家ごとに満載のインタビュー本でした。
山村美紗さんや、松本清張さん、田辺聖子さん、渡辺淳一さん、澤地久枝さんら、多くの作家の楽しくも興味深い話をたくさん聞くことができました。
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