【The Beatles 研究室・復刻版】Past Masters ・ Volume Two[A-3]Paperback Writer
今回は、シングル曲の「ペイパーバック・ライター」を取り上げます。
ポールの作ったシングル用の曲で、スタジオにこの曲を持ってきたポールが演奏を始めると、スタジオ中の誰もがヒットを確信した・・と言われています。
そして、そのとおり、英米でナンバーワンヒットとなりました。
また、この曲は、ビートルズがコンサートで演奏した最後の曲ともなったのです。1966年の日本公演でもプレイされていました。
ポールはこの曲のベースを録音するにあたって、妥協せずに徹底的に攻めた録音をエンジニアに依頼したようです。
そのときの状況については、エンジニアのジェフ・エメリックの著書にも記されています。
そして、過激な録音方法は、マイクの代わりにスピーカーの配線を逆にして使用するというものでした。
要するにベースアンプと向かい合わせてスピーカーを置いて、それをマイクとして機能させて録音したわけです。めちゃめちゃ過激なアプローチだと思います。
ポールのベースは、まるでリードギターのようです。
そして、リンゴの、“ギターとダブって”叩かれる強烈なリズムと、ダビングされたと思われる、チャキチャキいうハイハットも見事に効果を発揮し、この曲にふさわしいアレンジがなされています。
コーラスも三人が三回以上重ねて録音されたと思われるもので、これもこの曲には無くてはならないものになっています。
ギターのディストーションの効いたサウンドも素晴らしいものです。
ビートルズらしいヒットソングのひとつだと思います。
〈追記〉2021/06/23
このホームページ・オリジナルの作成後に、音源はいろいろと出ていますが、まずは2009年モノ・マスターズを聞いてみると、実に安定したミックスとなっています。
ポールのベースもとてもよく聞こえます。
ボーカルもリンゴのドラムも実にはっきりと聞こえます。
ブレイク前のボーカルのエコーのかかり方がブワンブワンと強調されています。
次はステレオ版のパストマスターズ Vol.2。
こちらはポールのボーカル中心にミックスされている感じがします。
そしてブレイク前のエコーはかなり控え目です。けっこうモノとは、はっきり異なります。
次は英国のオールディーズに入っていたモノラル・バージョン。
ブレイク前のエコーは、上記2バージョンの中間くらいにかかっていました。
全体のサウンド・バランスがよく、とてもよくまとまっています。聞きやすい!
さらに今度はアルバム「1」収録バージョン。
これは、細部に渡って雑音などがなくなり、クリアな感じがしました。
ブレイク前のエコーは控え目。
ポールのボーカルにも過剰なエコーはかからず、ナチュラルな印象です。
で、「1」の2000年バージョンを聞いてみると、左右の分離が上記と異なっています。
ブレイク前のエコーも上記よりもかかっていました。
バックの演奏の音も新しい方の「1」と比べると分離があまり良くないように思います。
でも、こっちの方が発売当時の音に近いのかもしれません。
最後に、以前、船橋に野口淳さんが館長で開設されていた「ビートルズ資料館」にお邪魔したときに聞かせていただいたアナログ・シングル盤で、当初プレスされたベースの音が強烈な貴重盤を聞いたときの音の感想です。あまりにも強烈なので、その後ベースの音を控え目にして再度プレスし、販売されていたという話を聞きました。
で、これは“別モノ”でした。
あまりにもベースの音が強烈で、当時レコードを掛けた一般の方のアナログ・プレイヤーの針が飛んでしまったという“逸話”も本当のことだろうと実感しました。
たぶん、こんな貴重盤を聞くチャンスなどは、私のような一般ファンにはほとんどないことと思いますが、本当に野口さんの資料館には大感謝です。
同日、一緒に聞かせていただいた方達も驚きの表情をしていたのを思い出します。
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