「スマホ脳」を読みました。
『スマホ脳/アンデシュ・ハンセン著、久山洋子訳(新潮新書)』を読みました。
どうやら世界的ベストセラーのようです。売れてる本には基本的に手を出さないのですが、今回はどうにも気になる内容だったので、読んでみることにしました。
著者はスウェーデン・ストックホルム出身、すでに「一流の頭脳」がスウェーデンでベストセラーになったことのある精神科医です。
今回は、スマートフォンや、iPad などタブレットも含めて、それらが人間に(特に若い人に)与えている影響について書かれているものでした。
あまりにも多くのことが書いてあり、また、詳しく内容をここでお知らせしてしまうと商売の妨害になってしまうので、ここでは私がちょっと気になった部分だけについて書きます。実に興味深いお話が多かったのですが、ほんの少しだけ・。
現代人は強いストレスにさらされながら生きているわけですが、それが続くと精神状態が悪くなる。
そうなったときに、脳は「長期記憶(生きていく上で大切な覚えておかねばならないようなこと)」の保存について優先度を下げるのだそうです。
だからひどいストレスを受けているときには、記憶があやふやになることが多いのだそうで、まさに思い当たるふしがあります。
人間の脳は、原始の過去から培われてきた記憶・経験から危険を察知するためには常に人よりも新しい情報を欲しがるような構造になっていて、スマホからの情報がいい加減で怪しかろうが、思わずクリックして見てしまうようになっているらしいです。
で、クリックしたときにドーパミンがご褒美として放出されるので、それ欲しさにまたクリックしてしまうという悪循環にハマる。
強いストレス下にあるときには特にそんなことになってしまうのではないでしょうか。
また情報を送り込む SNS 運営者側は、その情報の信憑性などは調べもしないし、どんどん丁度見たくなるようなタイミングでユーザーを煽るようにプッシュしてくるというわけです。
SNS 運営側は、行動科学や脳科学の専門家を雇い、極力効果的に脳の“ドーパミン報酬システム”を直撃して最大限の依存性を実現するように操作している・・んだって、そう思っていたけど、あらためて言われちゃった。
デジタル娯楽に行きたくなるのは、情報を効率よく取り入れていると思ってのことだが、結局情報がしっかり頭に入っているわけではない・・私もそう思う。
それなのに続けてしまう「原動力」は、そうすることでドーパミンが放出されるからだと念を押された。
人間はずうっと過去から見てみると、“生き延びる術”は、食べ物の情報と、ゴシップ(人からの情報)なわけで、これがまた今の SNS は目的は違えどもそれらを追いかけている。・・ようするに本能の部分と現実の行動がマッチしてしまった状態。
さらに「ミラーニューロン」という、他人の痛み、喜び、悲しみ、恐怖などを理解するためのものについて書かれていて、演劇鑑賞(生で劇場で見ること)時などに「活性化」するのだけれど、PC画面や、スマホ画面などでそれを見ても刺激が無いというのです。
これも演劇を多く見ている私には強く同感するものがあります。
スマホばかり見ている人に実験で、一定時間スマホを持たせないで集中が必要な作業をさせると、机上にスマホを置いているだけの人よりも集中力が上がるのだそうです。もちろんスマホをいじらせたりしたら、もっと集中力は落ちるのです。
自動化や人工知能の普及で消えてしまう職業は今後多くなると思われますが、人間に残されるであろう仕事は、集中力を要するものになるでしょう。
皮肉なことに、その集中力は、デジタル社会で最も必要なのに、スマホなどによるデジタル社会そのものによって奪われているわけです。・・ああ皮肉。
今や、一日のうち、起きている時間の3分の1以上がスマホを見る、さわる時間になっているらしく(そうだと思う)、スクリーンタイムと呼ばれるスマホ画面を見ている時間は多い人だと一日7時間!!、ほとんどの人が3時間くらいらしいです。
それをやめ、スクリーンタイムを1時間程度にし、一日のうち、何十分かを運動の時間にすると、不眠症、鬱病、体調不良などの人にはっきりと効果が表われるんだそうです。
因みに毎週一回私の iPhone が教えてくれる私の一日のスクリーンタイム平均は8分でした。
つまり一日数回チェックしているだけなんです。
まだ依存症にはほど遠そうで、大丈夫かな?!(^_^)
【Now Playing】 Una Mas / Kenny Dorham ( Jazz )
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