【The Beatles 研究室・復刻版】The Beatles (White Album)[A-5]Wild Honey Pie
今回は通称「ホワイト・アルバム」から「ワイルド・ハニー・パイ」を取り上げてみます。
ビーチボーイズの「ワイルド・ハニー」という曲に触発されてポールが作ったと言われています。
ただ、私はそのビーチボーイズの曲を知らなくてコメントのしようがないのですが、どうやらかなりアバンギャルドな曲らしいです。その点からいくと、このポールの曲も、ある意味アバンギャルドな感じがしますが。
わずか52秒の曲で、完全にポールのみの録音になっています。ドラムも叩いているらしいのですが、主な打楽器の音はギターのボディーを叩いている音なのではないかと推測します。それにエコーなどの処理をしているのではないかと。あと、アコースティック・ギターも、もちろんポールです。
ドラムはたぶんバスドラムだけだと思います。
簡単にスタジオで録ったものと推測される曲なので、ひょっとすると、ポールはギター・プレイなり、ギターのボディーを打楽器として叩いているなりしながら同時にバスドラムを踏んでいるかもしれません。
同じアルバムのブラックバードでも、ギターを弾きながらパタパタと足踏みしている音がしているので、そのくらいやりそうです。
当時は4トラックのレコーダーだったので、こういう曲を録るならきっとそういうふうにやっていたんじゃないかと思います。
さて、この曲を解説しようとしても・・・何と言っていいか、ちょっとスタジオでギターを爪弾いていたときに軽く曲風なものを遊んでプレイしただけのものだと思うのです。
でも、曲と曲を繋ぐにはもってこいな感じだったのだと・・・。
ジョージ・マーティンがホワイトアルバムには駄作が半分あると言っていた、まさにその曲でもあると思うのですが、不思議と繋ぎの効果は確実にあって、見事に次のバンガロービルのアコースティック・ギターの早弾きのイントロにベスト・マッチなのです。
結果オーライのビートルズらしい、またまた結果的にはそれが正解になっているという具合です。
「パティ(当時、ジョージの奥さん)が気に入っていたから入れたよ」なんてポールのコメントも残されているようですが、丁度良い言い訳に使ったに過ぎないと思います。
曲は駄作だが、アルバム構成曲としては成功、という珍しい曲だと思います。
〈追記〉2021/07/22
2009年リマスター・ステレオ・バージョンを聞いてみました。
アコースティック・ギターの音が、とても“生々しい”です。
私は、もともとステレオのアナログで聞いていた曲なので、馴染がある感じです。
2009年モノ・マスター・バージョンも聞いてみました。
バスドラムの音が“こもり”気味で、ボーカルもややぼやけているように感じます。
ギターの音はエコーなどが控え目になっていて、あまりエフェクトも強く掛かっていません。
ボーカルも素朴な音質でした。
そして2018年の50周年記念盤も聞いてみました。これはジャイルズ・マーティンがミックスしたものです。
アコースティック・ギターの音はとてもクリアで、たぶんエフェクトが掛かっていると思われる“揺れる”ようなトレモロのような感じが、オリジナルよりもかなり“きつめ”に処理されています。
ギターのボディを叩く音も、バスドラの音もアタック音が強調されています。
ボーカルだけでなく、ちょっと入っている声もかなり生音ではっきり聞こえます。
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