【「そうだ、いい方法がある」と言われた話/過去に会った人、過去にあった出来事について振り返る №8】
過去に会った人、あった出来事についての回顧文シリーズ、まだまだ続きます。
今、向田邦子さんの様々な脚本、著書から『名言・名セリフ』を集めた本を読んでいるのですが(これについては、またこのブログでご紹介します)、そこに【人間はその個性に合った事件に出逢うものだ】という小林秀雄の言葉に感心する向田さんの文章が紹介されています。
『私は、出逢った事件が、個性というかその人間をつくり上げてゆくものだと思っていたが、そうではないのである。事件の方が、人間を選ぶのである。』と書かれていました。
そうか、事件が私を選んでいたのだ…σ(^_^;)と、目からウロコの大発見でした。
さて、「事件」(^^;) のネタは泉のように湧き出てくるのですが(^^;)、前回、何度も言っておいたのに、「突然休むなんてこと言われても困るんだよなあ」と言った人の話、続編です。・・思い出しちゃったんだよ。
その係長。
当時、私の義父が若くして60代で亡くなり、忌引(特別休暇)を出したときの話です。
係長:「困っちゃうなあ、明日は予算書提出の日なんだから、いてもらわなくちゃ。」
私:「(※私の心の中 → なに言ってんの、この人) 大丈夫ですよ。予算書は私が作り終えて、5回見直しして、きょう係長が全部点検してOKだったじゃないですか。」
係長:「でも、明日修正が出たりしたら、どうするの!」
私:「課内調整で、他の係とのやり取りで数万円くらい動くだけでしょう。数字の部分だけ書き替えればいいんです。」
係長:「私はパソコンがまるで出来ないんだよ、そんな私を残して行ってしまうなんて、あまりにもひどいんじゃないの。」
(※当時はWindows95が普及しだした頃、予算書はなんとワープロの「一太郎」で作っていた。だから逆に数字のところを上書きして修正するだけだった。それにしても、まったくパソコンがさわれないなんて自慢することではないと思う。)
私:「妻の実家は、義父が若くして亡くなり、義母と20代の義弟、義妹の三人で葬儀をせねばならないので、私が行ってあれこれ手伝いたいんです。」
係長:「あっ、そうだ、いい方法がある!」(※私の心の中 → 無視かよ!)
私:「なんですか。」
係長:「忌引はとりあえず出してよ。ハンコは押すから。で、出勤して仕事をやってもらう。」
私:「ど、どういうことですか。(※私の心の中 → 何言ってんだこいつ)」
係長:「あなたは忌引を出すことが出来た。私は安心して仕事を任せることが出来る。両方にとって良いことでしょう。」
私:「(※私の心の中 → なんだってぇ・・忌引を書類上だけ成立させて、実際は職場に来て仕事をしろってのか?!)」
係長:「頼むよ、それしかないよ。」
私:「まったく意味がわかりませんが、とりあえず出勤してきて、様子を見て帰らせてくださいよ。斎場は遠いんです。午後も仕事してたら通夜にも間に合わない。」
係長:「お願いだよ、なるべく長くいてもらいたい。」
というわけで、忌引なのに出勤し、予算書の修正がないか見守り、午後に帰ろうとしても「もうちょっとお願い」と言われ、午後三時頃の通夜にぎりぎり間に合う時間で帰りました。
・・なんつう忌引だ・・。
っていうお話でした。
係長に・・「ほんとうに、ご愁傷さま」。
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