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2021/07/26

「父 吉田茂 (麻生和子著)」を読みました。

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『父 吉田茂/麻生和子著(新潮文庫)』を読みました。
著者、麻生和子氏は、戦後激動の時代に首相だった吉田茂の三女で、現在の財務大臣で元首相の麻生太郎氏の母です。

父の吉田茂首相とはサンフランシスコ講和条約締結会議にも同行するなど、多くの時間を共にしています。
なので、首相側近のふだんの様子や、政敵とのやり取り、重要な決断をするときの表情、短気ですぐに雷を落とす様子、その雷の犠牲者になった人の様子(^_^;)、また人情味もある側面なども、事細かに書かれていました。

それらの記述が貴重な記録であると共に、著者、麻生和子さんの文章の“うまさ”は特筆ものでした。
それに、和子さんその人の人柄もとても魅力ある方だと思いました。

吉田茂が駐英大使だった時にも同行し、週末に田舎にお屋敷をもっている人たちから泊まりにくるように誘われて、郊外の広大な領地と、まるでお城のような邸宅で過す和子さんの様子が描かれていました。
私には、想像もつかない、貴族のような人たちとの優雅でのんびりとした空気が流れている生活、それを書く筆致も見事でした。

また、駐英大使だった時のほか、海外の要人との当時の吉田茂大使のやり取りも、ドイツと近づきたい本国と、英米との関係を大事にしたい吉田との“じりじり”とした駆け引きのようなものが書かれていて、これも貴重な記述だと思いました。

さらに、和子さんの祖父、牧野伸顕氏が二・二六事件のときに襲撃され、運悪く心配事の相談に来ていた和子さんは巻き込まれました。
明け方、銃声が聞こえ出てみると、護衛の警官が倒れている。
寝間着のまま一家は裏山に這い上り、下の道路からは鉄砲で撃ってくるという状況。
弾は、和子さんの髪の毛を擦っていったと書かれています。
このような緊迫した場面も、そのまま書かれていて、たいへん驚きました。

吉田茂が首相になってからは、第五次まであった内閣のそれぞれの時期の吉田首相自身の苦労話、そしてそれを見ていて、また手伝っていた和子さん(やがて和子さんの夫も政治家になり、金銭的にもバックアップに回る)の子育ても含めた八面六臂の活躍についても書かれていて、読み応えがありました。

吉田首相、引退後の穏やかな日々も書かれていて、それもほっとしながら読みました。

しみじみと政治の裏側について振り返っている和子さんの言葉

「どんな社会でもありがちなことだとは思いますが、政界というところはいやな世界で、今日の友は明日の敵といったことがしばしば起こります。」

「それというのも、男の人にとっては、やはり権力というものがよっぽど魅力なのでしょう。自分の思ったとおりにできる権力をえるために、常に得になるほうへと身を処していく。常に得なほうへとつくということが、ためらいもなくできてしまう場合があるようです。」

と、書かれています。

私のような小さな世界で仕事をしていた人間にも大小の差こそあれ、上記と同様なことは、しょっちゅう起こっていました。

重くて、深くて、優しい本でした。

 

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