【The Beatles 研究室・復刻版】Please Please Me[A-2]Misery
今回は、デビューアルバム「Please Please Me」から「ミズリー」を取り上げます。
驚くべきは、デビューアルバムで、自分たちのことで精一杯のはずなのに、この曲は一緒にツアーをしていた16歳の女性歌手“ヘレン・シャピロ”のために書かれたものだということです。
残念ながら、この曲の歌詞が暗いという理由(たぶん)で、この曲の受け取りは拒否されてしまったようですが。きっとあとからものすごい後悔をすることになったと思いますけど・・・。なんたって世界最高のコンポーザー・コンビ、“レノン/マッカートニー”の作品を断ってしまったのですから。
そうそう、もうひとつ驚くのは、この作詞/作曲者名のクレジットが『 McCartney/Lennon 』になっていることです。そう、ポールが先になっているのです。きっとあとでジョンに丸め込まれて後に順番を逆にされてしまったのだと思います。
後年、ポールが元に戻そうとしたときに、このクレジットのことを知らずにけっこうポールはひどい中傷を受けましたが、最初はこういうクレジットだったのだから、ポールの主張もあながちひどいものではなかったのです。
さて、曲の方はミズリー・・・“惨め”な状態を歌った曲を作ったのですが、それは若い人達が惨めだと言っている状態を逆に大げさに表現して逆説的に批判するようなジョンの歌いっぷりになっています。
さらに、この曲は驚くことにポールも一緒に歌っていて、けっこう気づかない人が多いと思います。
まるで、双子が歌っているようで、ジョンのオーバーダビングだと思っている人が多く、ビートルズの研究本でも間違っている記述がけっこうあります。
間違いなく、ジョンとポールが歌っているのです。特に初期にはこのような曲があり、私も中学生の頃には判別がつきませんでした。
ほとんどあまり気にとめられないような曲なのですが、よく聞くと上記の二人のボーカルを始め、その一見素直に聞こえる演奏も16テイクも録り直している背景があり、苦労した平凡さが光る曲です。
〈追記〉2021/07/30
2009年リマスター・ステレオ版をまずは聞いてみました。
ギターのストロークがとてもはっきり聞き取れます。
エレクトリックと共に、アコースティックギターも入っているのですが、このステレオ版では、アコースティックギターの音も割とよく聞こえます。
右側からボーカルが聞こえるのですが、ジョンとポールの声もよくわかります。ちょっと艶のある感じに録音されていると感じました。
2009年モノ・マスター版で聞くと、エレクトリックの方のギターのリズムカッティングがステレオ版よりもはっきりと聞こえます。
ボーカルのジョンとポールの声は、このモノラル版の方がより明瞭であると思います。逆にリバーブのような処理は、ステレオ版よりも感じられず、ナチュラルな声を聞くことができました。
ついでにBBCのライブ盤に入っているものも聞いてみました。
これは、ポールのベースがとてもよく入っていて、ちょっと“丸み”のある音色まではっきりと聞こえ、フレーズも全部聞き取れます。ギターはあちこちでミスっていますが、ライブですから楽しくていいです。
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