向田邦子さんの言葉を集めた「少しぐらいの嘘は大目に 向田邦子の言葉」を読みました。
『少しぐらいの嘘は大目に 向田邦子の言葉/向田邦子・碓井広義編(新潮文庫)』を読みました。
この本は、高校教師の職から、テレビ制作に関わりたくてテレビマンユニオンの試験を受けて転職、数々のテレビ番組を製作後、現在はメディア評論家、上智大教授を務めている碓井広義さんが編纂して向田邦子さんの様々な脚本、著書から「名言・名ゼリフ」を集めたものです。
この本については、先週の日曜日。ラジオの文化放送でやっている「浜美枝のいつかあなたと」という番組にこの本を編んだ碓井広義さんが出演され、内容についてお話されていて、浜美枝さんもたいへんな感心を持たれていたので興味を持ち、すぐさまその午後に探してきたものです。
向田さんが飛行機事故で亡くなられたのは、まだ私が学生時代だったかもしれません。
でも、「寺内貫太郎一家」や「時間ですよ(※向田さんが何編か担当)」などのテレビ・ドラマで作品は拝見していました。
その中で、私が気になった向田さんの言葉をいくつか・・。
「お父さん。オレね、今晩いろいろなこと考えさせられたよ。サラリーマンになったら出世しなくちゃなンない。小さい家よかでかい家に住みたい。背広も高い方がいい。品のいい言葉使ってしゃべる人間のこと上等だ、そう思ってやってきたよ。でもねえ、生き方、暮し方ってのは、色々あるんだよなあ・・・」
「食いたいもの食って、見たいもの見て、楽しんで、そして安らかにねむる、そういう見栄はらない暮しも人間らしくていいなあ。オレ、本当にそう思ったよ」」
-だいこんの花-
私がそれこそここ十年くらいにやっと思ったことが書かれていました。
こういう見栄をはらない暮しがいちばんいい、・・と、今は思います。
ちょっと昔を思い出したのは・・。
記憶の中で「愛」を探すと、夜更けに叩き起こされて、無理に食べさせられた折詰が目に浮かぶ。
-子供たちの夜・父の詫び状-
私も兄弟一同深夜に起こされて、父が千葉の「金寿司」から持ち帰った折詰を食べたことを思い出します(^_^;)・・でも、あれ、うまかった。
その他ドラマ中のセリフなどがたくさん載っていたのですが、私の記憶にある、例えば「寺内貫太郎一家」でも、爆笑のシーンや、一家のにぎやかな食事シーンのほかに、何か暗くて人間の業を感じさせるような場面が必ず楔を打つようにあったような気がします。
そんな向田さんの「陰」と「陽」で言えば、「陰」の側面を写し出した言葉、セリフがたくさんありました。
男女の複雑な関係をあらわす言葉や、夫婦の微妙な立ち位置を示すような言葉も。
読めば読むほど、深くて、唸ってしまうのでした。
辛辣な言辞を吐くことで知られる山本夏彦氏が評した「突然あらわれてほとんど名人」と言わしめた向田さん。
そして、突然亡くなられしまったのです。
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