【南先生の玉手箱_0035_生まれて51年 7回シリーズ[7の5] 】
私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
平成10年の「家庭教育学級・資料 -家庭における進路指導のありかた-(私自身をふりかえって)」という冊子から、「生まれて51年」という文を長編なので、7回に分けてのご紹介。
今回は、7回中の第4回目ですが、前回にも書きましたが、7回分の原稿のうち、2回目分にあたる部分と3回目にあたる部分をページがくっついてしまっていて、飛ばして4回目分を先に3回目分としてご紹介してしまっていたことに気付きました。
前回、正しい3回目分をご紹介しましたので、今回は正しい4回目分を掲載いたします。
以下、先生の文章です。
小学校では、運動会、学芸会など、楽しい思い出があった。
運動会では自分はリレーの選手を見て、俺もなりたいなあ、かっこいいなあって思いながら、みんな一緒になって毎日走る練習をしたりして、早くもないのにどうしてか楽しみな行事であった。
又、劇の練習中にうんこをしてしまって、家へ逃げるようにして帰ったあと、しばらくうんこのあいつって言われたことなど覚えている。
それにちかいことで、ちょっとしたいやがらせや、いじめをしたりされたりしたことも思い出す。
低学年の頃は、それこそ毎日学校に石盤と石墨を持って通ったと思う。
今考えてみると、珍しいと言うよりも、本当にノートや鉛筆がなかったのだと思う。
消しゴムなどなくしたりするともう買ってもらえなかった。
学校前のお店に学用品はあまり置いてなかった。
貧しかったのかどうか、自分のうちだけが貧乏であったわけでもないだろうし、何か自分が持っていないことは、それほどみじめなことではなく、あたりまえのことと思っていた。
家には畳がなくて、むしろの上での生活もあったし、壁のすき間からは星が見えたのも覚えている。
冬なんか、えらく寒く、雨の時などあっちこっちで雨水のたれる音を耳にしながら寝ていたことも思い出す。
ごちそうと言えば、家に帰って大きなにぎりめし、あれひとつが本当に楽しみだった。
又、近所でお互いに遊びに行くと、食事時になって、その家のものをご馳走になった味も忘れられない。
よその家の味もうまく、今思えば懐かしい思い出だ。
小学校時代は、体も小さいのに(130cm 位)、王、長嶋のような野球選手になれるような気分で毎日草野球をやっていた。
もちろん、その頃遊んでいた畑は今見ると狭くて、よくもあそこでと思うところであった。
使っていたバットなど、自分で木をけずって何とか形にしたものであり、バットやグローブを持っている子はほとんどいなかった。
グローブを買ってもらった時などうれしくて、毎日ふとんの中で持ったまま寝ていた。
高学年の頃だったか、近所に植木屋さんが多かったこともあってか、植木職人っていいなあ、樹をつくっていく仕事に子どもなりに夢を持って良く見ていたものだった。
自分ではよく覚えていないのだが、4~5年生の頃、図工の時間にみんなが木を緑色で描いていた時に私が赤いような絵を描いていて、先生がみんなの前で何か話していたと、友だちが今でも覚えているとか。
今の自分の生き方の何か原点があったのかも知れない。
自分は何も覚えていないが、その時の先生のひとことが何か私の人生に良い意味で刺激を与えてくれたのかも知れない。
先生に会えるのならば、その頃のこと、少しでも知りたいと思う。
以上が先生の文でした。
野球の道具の話や、家の様子など、時代がしのばれますが、でもそれっていい思い出であって、“しあわせ”を感じながら思い出せるものなんですよね。
そして、図工の時間に樹を「赤」で描いたのは先生らしい話ですが、たぶんそれを皆の前でほめたであろう“先生の先生”もいい影響を子どもに与えてくれた人だったのですね。
私自身も子どもの頃を思い出すお話でした。
« 【「マニフェストく~ださいっ!」のお話/過去に会った人、過去にあった出来事について振り返る №10】 | トップページ | 泡坂妻夫さんの「しあわせの書 -迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術-」を読みました。 »
「南先生の玉手箱」カテゴリの記事
- 【南先生の玉手箱_0060_子ども時代にたくさんかかわること】(2023.05.08)
- 【南先生の玉手箱_0059_坂〇苑交流会に参加して】(2023.04.07)
- 【南先生の玉手箱_0058_暮らしの中で身についていたものができなくなった】(2023.02.21)
- 【南先生の玉手箱_0057_あそびの中で育まれる大切な部分】(2023.01.28)
- 【南先生の玉手箱_0056_惻隠の情】(2023.01.06)
« 【「マニフェストく~ださいっ!」のお話/過去に会った人、過去にあった出来事について振り返る №10】 | トップページ | 泡坂妻夫さんの「しあわせの書 -迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術-」を読みました。 »
コメント