ドナルド・キーン先生の「私の大事な場所」を読みました。
『私の大事な場所/ドナルド・キーン著(中公文庫)』を読みました。
著者のドナルド・キーン先生は、日本人よりも日本文学を知っていた人、あるいは日本の文学や文化、風景、風習も愛していた人ではないかと思います。
この本は、数々のキーン先生の原稿や、講演録から選択された文が集められ、読んでいて、ほんとうにホッとするような内容でした。
また、後に文部大臣になった永井道雄氏や、中央公論社の嶋中鵬二氏、吉田健一氏らとの出会いもキーン先生の日本での活動や生活、自己の日本語による本の出版に多大な影響を与えていたこともわかりましたし、彼らとの深い友情は読んでいるこちらにも伝わってくるものがありました。
芭蕉の歩いた「奥の細道」をたずね歩いた文も、「芭蕉がかつて見た光景と同じものを自分が見ている」感動が伝わってきて、日本人でもこれほどの気持ちになれるのか、などとも思いました。
ご本人は、専門家にしか興味のない論文を書いて満足しているような学者ではなく、世界の一地域である日本の文化を世界の別の地域へとつなぐ“かけ橋”的な存在へと徐々に変って行く様子を自分でも感じておられたようで、いつしかそのことに対しても喜びを感じていたようです。
この本を読んで、ニューヨーク生まれのキーンさんに、日本人の私が“日本文化”の良さを教えてもらうこととなりました。
キーン先生が書かれる日本語による文は、とてもわかりやすく、美しく、読みやすいものでした。
それについても見習いたいと思いました。
とても良い本で、何度でも読み返せる内容を持ったものでした。
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