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2021/08/03

【続きです「人にきいておいて、それをくだらないというひと」のお話/過去に会った人、過去にあった出来事について振り返る №15】

20210802_star_troupe_001

過去に会った人、あった出来事についての回顧文シリーズ。
前回のこのシリーズの続きです。

引き続き東京での話で、前回では朝イチに私が前日に行ったコンサートや演劇のことを聞き出し、それについて“いちゃもん”というか“いいがかり”をつけてくる上司の話でした。

前回私に“いちゃもん”をつけた上司Aは、私が反応しなかったのが気に食わなかったのか、たぶん部下の上司Bに言い渡して(前から二人はそんなことをしているふうがあった)、再度私にギャフンと言わせろということだったのだと思います。想像ですけど。

またまた朝の「おはようございます」と挨拶したときの話。

上司B:あんた宝塚を観たって言ってたよねえ。これからも観るつもり?

私:ずいぶん前から観ていましたし、これからもずっと見続けるつもりです。

上司B:あんなものが面白いのかね。私を連れて席に座らせて、“おもしろがらせる”ことが出来るかね?

私:面白がらせるって、宝塚歌劇がどういうものかご存知なんですか?

上司B:知ってるよ。ディズニーランドと同じもんだろう?!

私:えっ?ディズニーランドは遊園地。
宝塚は芝居、ミュージカル、レビュー・ショーを見せてくれるところですよ。(この人、上司Aからこう言えって言われたのかな・・棒読みだけど)

上司B:だからまったく同じだろう。どこが違うんだよ。

私:ディズニーランドは子供から大人も含めて、そこに行って色々なものを見て、乗り物などに乗って、アトラクションを楽しんで、というものだと思います。
それはそれで素晴しい施設だと思いますが、宝塚歌劇とは異なります。
せっかく質問していただいたので、宝塚歌劇について誠実にお答えします。

上司B:えっ・・。

 

 

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私:私にとっての、宝塚歌劇の魅力はいくつもありますが、今から申し上げるのはほんの一つの要素です。

宝塚には、今の社会や人々の心の中から無くなりつつあるものが現に強く舞台上に存在しています。

それは「愛」と「正義」と「真実」です。 笑い事ではありませんよ。
それらが舞台上で、各組の組子達によって、彼女達の今までの人生をかけて全力で表現されています。

「愛」は、男女間の恋愛もあるでしょうし、親子愛、家族愛のようなものもあります。
人類愛という壮大なものもあるし、様々な形態の愛があると思われますが、今、自分の心の中で「愛とはなんだ」なんて考えることがありますか。妻を愛しているのか、と想うことがありますか。
それに気付かせてくれるのが宝塚です。

「正義」なんて、今のこの世の中に通用しているのでしょうか。
ほんとうに存在しているのでしょうか。
むしろ自分が正義に反するような生き方をしているのかもしれないと感じることがありませんか。
ほんとうに、人として、組織の一員として、社会の一員として、正義を貫くことがどれだけ大切なことかを問うてくるような演目、舞台が宝塚の持ち味です。

「真実」も、そうです。
一体この「嘘」と「欺瞞(ぎまん)」に充ちた世の中でどこに行ってしまったのかと思います。
「嘘」がまかり通り、「欺瞞」に巻かれて狡賢(ずるがしこ)く生きて行くことに活路を見いだしているようなことが多い世の中だと、私自身も感じているのです。

宝塚の舞台では、今言った三つのことが、もう実際にはこの世に存在しているのかでさえあやしい現代に、舞台上で存在させ、観ている私にうったえかけてきます。

私は、それを自分で感じるために行きます。

だから“おもしろがらせること”が出来るか、ではなくて、“おしもろがれる自分”がいるのか、「愛」や「正義」や「真実」について、まだ信じることが出来て、感じることが出来る自分がいるのかをたしかめに行っているんです。

長くなりましたけど、ご質問をいただいたのですから、正面から真っ直ぐに、誠実に、私の宝塚歌劇に対する真摯な向き合い方についてお答えしました。

私を席に座らせておもしろがらせろ、と言われても私の言えることは・・

「自ら木戸銭(チケット代)を払い、小屋(劇場)に正味二時間半、幽閉され、自分が面白がることができるような人であるのか」が大事なことだと思います。

上司B:・・・まったく何を言っているのかわからないっ!!もういいっ。

・・ということになりました。質問してきたことに、朝の忙しい時間にこれだけ真面目に答えて「もういい」はないだろうと思いましたが、想像だにしない私の答えに驚いていました。

私にとっての宝塚歌劇はそんないい加減なもんじゃないっ、と声に出したかったが、冷静に回答したというお話でした。

※掲載した写真は、まさに「愛」と「正義」と「真実」について、舞台上で“熱く”“深く”演じられた宝塚作品「スカーレット・ピンパーネル」の主演二人です。

このあとにもさらに話は続くのですが、私が今になって思うと、当時の職場は地元と離れ、職員は数人、考えてみると、職場は「密室」状態なのです。

そこにきちっとした人格の人が上に立たないと、「密室の王様」のようになってしまうのではないかと思います。

地元では、各課が隣り合わせであり、事務室内の様子も素通しですし、外部職員も常に出入りしていたりし、課の様子、雰囲気は自ずとわかってしまいます。
でも、東京では地元から出張で職員がやって来ない限り完全密室となります。そういう時がほとんどなのです。

これは、外から人が来ない、様子がわからない、だけでなく、内部で何が起こっても“外に漏れない”ということになるのです。
そうなれば、どう考えても個人的な攻撃、いじめなども密室内の出来事ですから、まるでわからないのです。
つまり、気に入らないヤツは徹底的にやっつけることが出来る、というわけです。

次に私に降りかかった出来事については、また次回に。

 

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