【南先生の玉手箱_0036_生まれて51年 7回シリーズ[7の6] 】
私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
平成10年の「家庭教育学級・資料 -家庭における進路指導のありかた-(私自身をふりかえって)」という冊子から、「生まれて51年」という文を長編なので、7回に分けてのご紹介。
今回は、全7回中の6回目です。
先生の高校時代から、大学、就職に至るところが書かれています。
以下、先生の文章です。
今、勉強したくなって定時制高等学校に通っている友人がいます。
これが本当の勉強だと思う。
あたりまえのことですが、親の進路ではありません。私たち親の立場としては、子どもに対して自分の生き方を見せてあげることが一番の進路資料かと思います。
うちの子ども二人[男]、どっちもちがう高校へ行きました。
二人ともすべり止めって、私立を受けました。点数がやさしいとか、入りやすいだけがすべり止めではありません。
又、すべり止めと言う学校はありません。それこそ失礼な言葉だと思います。
どこの学校へ行くかが人生ではなく、その学校で何を学ぶかが大切。これもあたりまえのことですが、学校を途中でやめても良いことです。
息子二人は、時にはつまんないと言っていたこともありましたが、お世話になってそれなりに友人もつくって卒業したように思います。
私は高校生活の中心が、美術部の活動でした。
勉強をしたと言うよりも好きなものにとりくめたことが幸せでした。
卒業後も美術の進路で、国立に入れればお金もかからなかったろうに、自分の力を総合的に考えて、私立の美術学校一本にしぼってとりくみました。
私立大学に入ったことは、親に大変苦労をかけたと思っています。
学生時代は、絵の道具などお金の必要もあって、当時は町にかなりいたと思うサンドイッチマンとそのグループに入れてもらい、毎日、各種、飲食店を中心にあちこち街角に立っていた。
その頃サンドイッチマンを通して学んだ人生勉強は大きかった。
大人社会の裏というか、本当のサービスって何なのか、世の中いいかげんな人だましが多いことなど、人間模様をたくさん見ることができた。
同じ仕事仲間の中で、毎日やっと食べるお金を稼ぎながら作家活動をしている先輩も多く、いろいろと人生観を学んだ気がする。
このアルバイトの関係もあって、よく Jazz Spot への出入りが多かった。
ジャズはこのあと私の人生に大切な部分になっている。
人種差別などとの関係もあって、生きることそのものに大きくプラスの存在になっている。
個人的に世界的なドラマー、エルビン・ジョーンズと会えるようになったことは、人生の宝物だと思っている。
今は閉店したが、東金に Jazz Spot ELVIN と言うすごいジャズ喫茶があったことも忘れられない。
千葉県の教員採用試験を受けたものの、もう一方では、このままサンドイッチマンを仕事に東京で絵を描いていこうと考えていた。
採用の合格通知と親の意見などもあって、自分なりに子どもたちと美術活動を通して、少しかかわってみようと、千葉市を希望して誉田中学校から教員としての人生がはじまった。
はじめの頃、5年も先生続けている先輩を見るとすごいと思うと共に、自分自身はいつやめるか、不安定な気持ちも持ちながらのスタートであった。
夜は、ずーっと徹夜で絵を描くこともあって、遅刻しそうになってあわててバスを追いかけて通ったことが思い出される。
以上が先生の文でした。
ここに出て来た「誉田中学校」が私が中学時代を過したところで、南先生と出会った場所です。
こんなに長い「付き合い」になるとは夢にも思っていませんでした。
また、大人になって先生との再会前に、私が30代半ばからジャズを聞き始めたということが、先生との親交を深めるひとつの要因にもなりました。
お互いにジャズが大好きってことは、いいきっかけだったのです。
先生初めての赴任地が私の中学校だったということは、先生は大学を出てまだ数年の時だったことになります。
長髪に髭の先生は、私にはどう見ても30代後半から40代くらいに見えていました (^^;)
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