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2021/09/15

「にんげん住所録/高峰秀子」を読みました。

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『にんげん住所録/高峰秀子著(文春文庫)』を読みました。
大正13年生まれの著者・高峰さんは、平成22年に亡くなられています。

この文庫に収められている文は、平成10年から平成11年にかけてオール読物や週刊文春などに書かれたもので、単行本としては平成14年に刊行されています。

自らの生い立ちを書き、養母に育てられ、自分が女優として売れてからは養母はステージママと化し、子供として遊ぶことも、学校で勉強することも、本を読むことも「お金さえあればそんなものいらない」と取り上げられてしまった時代の話を読むと、なんだかとても気の毒でした。駄菓子屋でたむろす同じ年頃の子供達を見て、“一緒に遊びたい”と、じっと見ていたら、養母はその子供達を蹴散らし、店のお菓子をたくさん買い占め、自宅に戻ってから部屋にざっとまいて、「さあ好きなだけ」という感じでされたことも書かれていて、哀しい情景でした。

また、北野武氏と氏の母親との関係は自分とは正反対のものであろう、と北野氏の書いた本から抜粋した文も載せられていましたが、北野氏のお母さんが、さんざん憎まれ口をきいていたのに、最後に北野氏をどんなに思っていたかがわかる部分になると泣いてしまいます。
自分と養母の関係があまりにも殺伐としていたことが逆に涙を誘ったのでしょう。私も哀しくなりました。

ほかにも佐藤栄作首相の夫人、寛子さんとの遠慮会釈のない付き合いも書かれていて、これはほんとうにテンポもよく、愉快なお話になっていました。

子供の頃に、あの歌手の淡谷のり子さんと映画館の“どさ回り”をしていたことも書かれていて、淡谷さんの気取らない、あっけらかんとして、でもステージに立つとスターになってしまう姿も臨場感あふれ、見事な筆致で書かれていました。

この本は、様々な人との出会いや、不思議な出来事、愉快な話、美味しい食べ物についてなど、実に軽快に書かれていて、高峰さんは、まさに自然体な人だと感じました。
気取っているところもないし、妙にへりくだるようなところもない。
人生、ありのままの姿で歩まれた様子は、一人の人間として見習いたいくらいでした。
文章もめちゃめちゃ上手い!

まだ高峰さんが書かれた本はたくさんあるのではないかと思いますので、また書店、古書店などで見かけたら手に入れて読んでみたいと思います。

 

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