「B面昭和史 1926→1945/半藤一利」を読みました。
『B面昭和史 1926→1945/半藤一利著(平凡社ライブラリー)』を読みました。
なんと、600ページもありましたので、たいへんでした。
そして、“B面”となっておりますので、各章冒頭では歴史的事実としての教科書的なその時代の記述があり、そのあとに新聞で言えば三面記事、その他世間で話題になっていたこと、当時の実際の町の様子などが書かれていました。
1926年から1945年の間について書かれているわけですから、徐々に日本の国際情勢は悪化していって、軍部の力が増していき、戦争に突入。
やがて・・第二次大戦終戦・・。ということになります。
中国のどこそこを陥落させたと言っては、提灯行列などを行い、お祭り騒ぎをしている様子を見て、ほんとうに昔の日本人は困ったものだ・・などとは言っていられない、と思いました。
あれほどコロナウイルス感染拡大に困った、困ったと言っておきながら、オリンピックが始まると“大騒ぎ”の“お祭り騒ぎ”。
さっきまで困ったねぇという顔をしていたアナウンサーが「うっほほぉ~い」と突然の表情変化を見せると、皆んなが皆んなモードが変わって浮かれ出す!
日本人の基本的な様子は、あまり変わっていないんじゃないのか、と思いました。
そんな日本人気質を考慮に入れて、“あの方”はこのコロナ過の只中、オリンピックを開催し、浮かれ気分のまま総裁選、そして総選挙に突入しようとしていたんじゃないでしょうか。
そしてそんな緊急時に“自粛警察”みたいな人が現われたりするのも当時に似たようなことがあったと書かれていました。
浅草・本法寺境内に「はなし塚」といって、落語の「明烏」や「居残り佐平次」「品川心中」などの花柳ネタや、妾ネタを塚に封じ込めるなどという・・馬鹿げたことをやっていたことが書かれていました。
また、昭和19年の雑誌「科学朝日一月号」では、朝永振一郎らが集まって核分裂の話をしています。
アメリカがひょっとしてウランを売らなくなったのは・・と、鋭いところをついていました。
話っぷりを読んでいると、「まさにウランを売らん」などと冗談を言っていて、“まさか”という感じなのですが・・。
もうひとつ感じたのは、人間、コロナ過でも、戦時下でも、毎日毎日、そして一日中“深刻”で“真っ暗”な生活をしているわけではない、ということです。
そりゃそうです。24時間心配の“しっ放し”なんかしていたら生きていけませんものね。
そんな中にあっても、思わずプッと吹きだして笑うようなことも必要なんですよね。
そして気持ちを緩める場や時間も時には必要なんだ、ということも感じました。
とにかく、A面を語るときには、まるで歴史書を読むようですが、B面を語るときには、“煙突男”の話や、“アベサダ”の話もどんどん飛び出してくる、ヘビー級のボリュームを持つ、歴史の裏の姿を映した本でした。
完読。疲れた・・。
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