【南先生の玉手箱_0043_転校生を見ていた担任の話】
私の中学時代の担任で美術の先生の現役時代の資料やメモなどの文書を掘り起こして活字化する作業。
今回取り上げる文には、「年」が入っておらず、2月19日、20日と記載されているだけでした。文面から推察すると、どなたか担任をしている先生の文を引用して、その上の立場から書かれたもののようです。
以下、先生の文章です。
◎2月19日(月)6校時、道徳の時間に2人のあゆみノートを読んでやった。
ひとりは級長、もうひとりは転校生で給食をひとりでポツンと食べている子ども・・・。
ひとりでポツンと食べている状態が2週間ほど続いて、おかしいなと思っていた。
そして誰かが何か行動をおこすのを待っていた。
私は待ちきれなくなって級長を呼んだ。どうなっているのか聞くと、何回さそっても一緒に食べようとしないとのこと。
・・どうしようかと迷う級長のあゆみノートに何度もさそっているのだけれど、ということが書かれてあった。
そこでとって返したように転校生のあゆみノートを読んでやった。
その内容は、昔がなつかしいとのこと〈青森の仲間はみんな個性があって、のびやかだった。もう一度もどりたい云々〉であった。
人はみんな過去を美化する傾向がある。
私は私のあゆみノートに対する返事も含めて読んでやった。
〈今現在を一生懸命生きて、そして未来につなげる。このほうがよっぽど夢がある。〉という話しをした。
みんな今を一生懸命生きよう!!
これが子どもたちに伝えたい私の願いであった。
転校生もこんな思いをしていることを知らせると共に、みんなが考えられる場面をつくった。
この転校生は忘れもののない日がないくらい多く、生活面に問題も感じているが、感性は確実に育っていることが確認できてうれしく思う。
転校生をみんなの前で認知させると共に、みんなで今のことを考える・・・。
また今日一日が終わった。あゆみノートが私の財産であるということを確認し、明日の給食の時間にクラスのみんながどう動くのか。一緒に考えようと思う。
また今日がはじまった。子どもに私自身が高められる。明るくのびやかなA組でありたいと願いつつ出勤する。
◎2月20日(火)興味深く、給食に行った。
私もいつものように片手にあゆみノート、片手に今私の読んでいる本を持って、さりげなく、あくまでも普通をよそおって教卓についた。
さて、昨日の問題を子どもたちはどう考えたのだろうか。
あゆみノートを書きながら子どもを観察する。
今日は子ども達が問題意識をもって実行にどううつすのかの場面である・・・。
ところが・・私の心配をよそに、じつに“あっけらかん”と級長の班で一緒に食べているではないか。
子どもの復元力と言うか、素直さと言うか、協調性と言うか、何と表現したら良いのか分らない喜びと、おどろきがあった。
子どもとは、こういうものだということを肌で感じた。
子どもらに高められながら、自分り教育観に自信を持って、また明日も楽しく頑張りたい!!
以上、ある担任の生活メモ(記録)からの抜粋である。
〈自分から悪くなろうとしている子はいない〉
みんなで共に本当の子どもの声が聞こえる自分になりたいものです。
以上、今年度最後の玉手箱でした。
〇ヨレヨレな文字で、まちがいも多く、細かな配慮も欠けた週報で、大変ご迷惑をおかけしました。みんなで頑張ろう!!と言う声が聞こえます。
お互いに持ち味を生かして、生き生きとした横中にしましょう。
以上が先生の文でした。
実際に学校の現場で起きていることが臨場感をもって書かれているもので、それについて先生がコメントしているものでした。
この文中に「玉手箱」という表現があって、私がこのブログのカテゴリー名に『南先生の玉手箱』と付けたのですが、先生ご自身も使われていたことを発見して、ちょっとうれしい気分になりました。
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