「詩人の旅/田村隆一」を読みました。
『詩人の旅/田村隆一著(中公文庫)』という本を読みました。
詩人・田村隆一氏(大正12年生、平成10年没)が隠岐、若狭、伊那、越前、越後などを旅していく、というだけのものですが、これがなんだかおもしろかった。
ひとりで行くときもあるし、著者よりも若い“イキのいい”男性が連れて行ってくれる場合もあるし、奥さんと出かけた場面も出て来ました。
著者の目に映る旅先の光景は、景色だけでなく、その地の空気や光、においまで感じました。詩人たるが由縁なのではないかと感じました。
それから、田村さん、よく“飲み”ます(^_^;)
列車内ではビールから始まって、ウイスキーを相当量っていうか、多量っていうか、しこたま・・飲んでいます。
そんなに飲んで旅先に着いたときに、あちこち動けるの?って思いますが、いやもう“きびきび”と、しかも好奇心たっぷりに旅を楽しみます。
おいしいものにも“行く”し、地酒も嗜みます。そしてその土地の人とも実にうまくふれ合います。
“達人”の域だと思いました。
ひとり旅について、「自分がひとりで旅をしていくってことに対してどんなにいろいろな、さまざまな力がそのひとり旅を助けているかということを具体的に経験すること。」と語られていますが、それを聞いて“目が覚めた”気がしました。
また、風景について「どんな乗りものに乗っても窓わくがあるんです。その窓わくで見た景色が大事なんです。窓わくがなかったら、まったくのっぺらぼうになっちゃう。」ともおっしゃっていて、これも納得してしまいました。
窓わくが風景とか印象をとどめてくれる・・そんな感じでしょうか。
というわけで、詩人独特の旅にふれることができました。
とても潔い本という印象でした。
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