【手術室での話/過去に会った人、過去にあった出来事について振り返る №46】
過去に会った人、あった出来事についての回顧文シリーズ。
前回のこの回顧文で、心臓に手術の必要ありと健康診断で言われた話を書きました。
で、けっこうつらかった職場でしたが、秋になり、予定の手術日がやって来ました。
十数年前の当時は、私に必要な手術は県内で二人の先生しか出来ないと言われ、そのうちのお一人の先生にお願いしました。
入院して、検査をして、手術の前々日に先生から個室に呼ばれて説明を受けました。
先生は正直に、今まで三千人に同様の手術をしてきたが、失敗したのは二例ある。その二例は最初と二回目のものだったとのこと。
今回の私の手術は、三時間くらいで終わる予定だとのことで、図を描きながら手術の内容も詳しく教えてくださいました。
手術は局所麻酔で、私に意識を持たせ、強制的に心臓発作を起こしている間に私に耐えられるか聞きながら、そしてモニターを見ながら患部を探し、脚の付け根からと、胸に一ヶ所の穴を開けてそこからもカテーテルを入れて電気的に熱で患部を焼いてしまうということでした。
心臓って電気信号で動いていて、“電線”のようなものが配線されているのだそうですが、私は、それが生まれつきループが起こるような配線になってしまっていたのだそうです。
だから、突然電気的ループが起こると信号の永久運動が起こって何もしていないのに脈拍が一分間に200くらいまで上がってしまう症状が起こっているとのことでした。
よく犬・猫などの手術に使うエリザベスのようなもので局所が見えないようにして手術を開始。カテーテルを入れたときに動脈から入れるので、激しく血が吹き上がったのを覚えています。
何度も何度も強制的に心臓発作を起こし、その間にループしている電線を手探りで見つけ、焼いていきます。不思議とその熱さを感じることができました。
何か薬を点滴から入れて、人工的に発作を起こしているようだったのですが、これが今まで経験したことのないほどの強烈な発作で、ものすごくつらいものでした。
手術は結果的に三時間ではなく、七時間かかったと、妻からあとで聞きました。
六度目の強制発作と施術が終え、先生から「もう大丈夫だと思うが、あと一度だけやらせてもらえば完全治療の確信が持てる、頑張れますか?」と聞かれ、「もう苦しくて無理です」と言ったのですが、「頼む、やらせてくれ」と七度目の強制発作を起こし、最後の熱施術を受け・・私は意識が遠のき、「あ・・死ぬかも・・」と思ったときには意識がなくなりました。
その瞬間、私は手術室の上の方から先生と看護師さん達が手術台を囲んで私に大声で話しかけているのを見ていました。
あれ、あそこに寝ているのは私・・。
先生は「〇〇を何ミリ注入!」と叫び、看護師さんが「投入っ!!」と大きな声を出して作業している。「〇〇さん、がんばれっ!」と先生が叫んでいる。
そして、「よおしっ、帰って来た。よかったぁ~。〇〇さん、よく頑張った」と聞こえた瞬間、また私は手術台に横たわっていました。
どうやらあっちの世界に渡らずに済んだようです(^_^;)
で、先生と目が合い、すぐに気絶。
意識がその後戻ってきて手術室から出ました。
全身血まみれの私が出て来たので、妻が大声をあげて泣いているのが見えました。
それを見て、また意識がなくなりました・・。
数時間後にやっと病室のベッドで目覚め、妻と会話することが出来ました。
手術室での不思議な話は後日、妻にしました。
そんなこんなで生きて帰ってきた、というお話でした。
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