「小沢昭一的 流行歌・昭和のこころ」を読みました。
『小沢昭一的 流行歌・昭和のこころ/小沢昭一・大倉徹也(新潮文庫)』という本を読みました。
ブックオフでわずか110円で売っていたのでした。小沢さんの本も数々読んでおりましたが、初めて出会ったものでした。
あのTBSラジオの有名番組「小沢昭一的こころ」の“昭和歌謡版”的展開の本でした。
小沢さんと共に著者に名を連ねているのは、番組の台本作家をつとめていた大倉徹也氏です。
小沢さんは昭和4年生まれで、その小沢さんが少年時代に聞いていた流行歌とその歌手について書かれたもので、だから私には知らない人が多かった。
でも、あの“語り口”、あの“調子”で書かれているので面白く読めてしまうのでした。
知っていた人 藤山一郎、灰田勝彦、ディック・ミネ、美空ひばり
知らなかった人 美ち奴、楠木繁夫、松平晃、杉狂児、二村定一、小唄勝太郎、霧島昇・松原操夫妻
知っていた人も、知らなかった人も、それぞれがそれぞれの全盛期を持ち、当時の国民が皆知っていた代表曲があり、そして様々で“悲喜こもごも”な晩年がありました。
驚いたのは、「狭いながらも楽しい我が家~」で覚えていた「マイ・ブルー・ヘブン」は、エノケンが最初に歌ったのかと思っていたら、日本で昭和三・四年頃、最初に歌ったのは二村定一で、その当時かなり売れていたのだそうです。
エノケンは二村定一の全盛期に舞台を一緒にやっていて、息長く人気を保ったエノケンが後に再度歌って、またもヒットしたとのことでした。この本に書かれていなきゃ、もう誰も知らないことになってしまう、そんなことがこの本にはたくさん書かれていました。
東京音頭は小唄勝太郎、日比谷公園で「丸の内音頭」という曲を作って盆踊りをやったら人がたくさん集まり、じゃ東京全体にしたらどうだと作られた曲だという。
「有楽町で逢いましょう」やその他、“この人の歌だ”と思っていた曲が、みなこの本に登場している人達が本来飛ばしたヒット曲だったりしたのにも驚きました。
小沢さんが書く、この歌はその時代の自分にこんなふうに聞こえた、という感覚は私にも想い出の曲がありますが、なんだかわかるような気がしました。
それと、一世を風靡した歌手の人生に思いを馳せ、様々な文献をあたって書いている部分も多く、歌手という一時的には皆が知ることになるが、やがて「あの人はいまどうしているのか」みたいなことになる“特殊業務”の悲哀も“小沢節”で書かれていました。
この部分が一番私も気になるところでした。
あとは、美空ひばりの素晴らしさに強烈な肩入れをする小沢さんの姿も確認できました。
一時期、紅白からも“干され”る状況だったひばりさんをNHKのショー番組内で小沢さんの演出で復活させ、紅白にも復帰した話が書かれていました。これは「あとがき」の山川静夫さんが詳しく書いておられました。
なんというか、いろいろなものを抱え込んでいるのが歌手、それも含めてその人とその人の歌が好きになるのだという・・小沢さんらしい感覚ですが、私も共感します。
私の知っているその後の昭和の歌謡曲についてもいろいろ調べてみたくなりました。
「タブレット純」さんあたりから入っていくと、深いところに行けるかもしれない・・。
彼のラジオ番組はかなりマニアック、かつディープなので・・。
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