椎名誠さんの「たき火をかこんだがらがらどん」を読みました。
『たき火をかんこだがらがらどん/椎名誠著(小学館文庫)』を読みました。
これまたブックオフにて安価購入。
この本は、2007年に刊行されたものの文庫化ですが、内容としてはその時点で過去20年間に書かれた文で、単行本などに収録されていなかったものを集めたものだそうです。
巻末の解説に前田司郎(劇作家、小説家)さんが書かれていたのですが、椎名さんのこういう本って、いつも“書いていることは同じ”なような気がするのですが、でもそれぞれに“なにかちがう”のです。
それは落語家が同じネタをやっても、いつも異なっているようなものなのか・・。
よくよく読んでみると、本質的に椎名さんの言いたいことは同じようなのだが、でもそれについて世間では新しい事象が起こっていて、それを発見した椎名さんが驚いたり、怒ったりしているような気がします。
読んでいて気になった部分がありました。
一時は、両親、子供さん二人、そして奥さんと六人家族だった椎名さんの家はにぎやかで、その頃の楽しかったことを思い出されていたのですが、その後ご両親が亡くなり、子供さん達は成人して二人ともアメリカに住むことになり、さらに奥さんはチベットに長期の滞在をすることになった椎名さんの状況について書かれた部分でした。
「これは気が楽だ」なんて思っていた椎名さんですが、片づけられた家で物書きの仕事をするのもなんだかイヤで、ビルの高い階の仕事場で原稿書きをしているときに、窓から見える木々が風に揺れる様子を見て、突然大きな虚無感、孤独感、疎外感、寂静感に襲われることになるのでした。
その後知り合いの精神科医のところに行くほど症状として重かったようですが、私も時にそのような気持ちになることがあります。
これは何なんだろう・・・?と思うことがあるのです。
しかも、椎名さんと似て、風が吹いて木々が揺れているときに・・感じることがあるのです。不思議なことです。
終盤に椎名さんがいろいろな国で出会った人、子供達の写真とエピソードが載っているのですが、それもしみじみとよいものでしたよ。
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