「戦前まっ暗のうそ 山本夏彦とその時代④」を見つけて読んでみました。
『戦前まっ暗のうそ 山本夏彦とその時代④/山本夏彦著(ワック株式会社)』をブックオフで見つけ、すぐさま手に取り買い求めました。三百数十円でした。
感想を書く前に、山本夏彦さんの本を書店でも、ブックオフのような古本を売っている店でも、近年まったく見かけなくなりました。
なんらかの“作用”が働いているのでしょうか。それとも山本夏彦さんの文を読みたいという人がもう世の中にはいないということなのでしょうか。
私が学生時代には、本屋に行けばたくさんの著書が並んでいたのですが・・。
で、読んでみたのですが、山本さんの数々の著書から様々な文を編集して一冊の本にしているものでした。
だから、久しぶりに懐かしく、覚えのある文も出て来ました。
タイトルの「戦前まっ暗のうそ」というのも、数十年前にそのような主旨の山本さんの文を読んだことが思い出されました。
いくら識者と呼ばれるような人が、「戦前は暗黒の時代だった」なんて言っても、この山本さんの文の中には当時の様子が日記などに書かれていて、それが紹介され、いつどこに遊びに行った、飲んだ、何々が何円だった、街の人々の様子、表情なども書かれていて、・・いくらなんでも毎日“暗黒の日々”だったら人間は暮らしていけないのだ、ということがわかりました。
というか、今現在の我々だってコロナ禍で、一時は万人単位の感染者が出て、それでも心配しながら生活はしていたものの、笑いも楽しみもなく、“まっ暗”な日々を日本中が過していたわけではありません。
どんな時だって、人は“一筋の光明”を見いだして、なんとかやっていくものです。
この本に書かれている日本の1930年代は、繁栄の時代です。
書かなきゃ、そんな事実も無かったことになるわけで、でも書いたら“無視”する“識者(うろんな人)”もたくさんいるわけです。
カタカナ語を“あやしむ”山本さんの文もあり、これも懐かしく読みました。
「思想 ※昭和36年4月号」で、中野重治が「コミット」「パースナリティ」「アプローチ」「アビリティ」「コンテクスト」などというカタカナ語を使っていることを取り上げて、ほとんど外国語だけで話す学者や評論家の議論を読み、これらの言葉は概念があいまいでよく分らない、うさんくさい、と書かれています。
令和3年の私が今読んでもそう思います。
こういう評論家などは、消えることなく“湧いて”きますねぇ(^_^;)
というわけで、とても懐かしい山本夏彦翁の本を久しぶりに読みました。
背筋が伸びました!!d(^_^o)
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