宮武外骨の「アメリカ様」を読んだ。
『アメリカ様/宮武外骨著(ちくま学芸文庫)』という本を読みました。
“投げ売り価格”でブックオフの棚にあるのを見かけ、「なんだこりゃ」と手にしたのですが、一見して怖ろしい感じの文章だとは思いましたが、内容は面白そう・・、で買い求めました。
著者、宮武外骨(みやたけ・がいこつ)は慶応三(1867)年生まれ。明治から昭和にかけて活躍した“反骨”のジャーナリストとのことです。
明治22年に発行した「頓智協会雑誌」に帝国憲法のパロディを掲載して不敬罪で入獄三年。
その後も奇抜な表現と方法で権力を揶揄し続け、入獄4回、罰金、発禁などの筆禍29回、晩年は東大法学部内に明治新聞雑誌文庫を創設し、その蒐集と保存に尽力したそうです。
・・1955年没。
この本は、第二次大戦に日本が敗れ、焦土の日本にアメリカがやって来て次から次へと昨日まで当たり前だったことを全てにおいて破棄し、目まぐるしく変化し、またそれに翻弄される日本人の様子を“外骨さん”が描いています( ̄O ̄;)
今まで散々“やりたい放題”だった軍閥、議員、財閥、それらに群がる団体などに対しても厳しい書きぶりですが、アメリカに対しても“へりくだる”のではなく、“褒め殺し”にて皮肉たっぷりに揶揄しています。
戦争にひた走った政府や無批判に隷従していった人々を痛烈に断罪していく外骨さんには今のジャーナリズムにも無い毅然としたものを感じるし、さらにそれを諧謔を弄し、ユーモアにまで行き着くという、宮武外骨という人の人間的な大きさ、不思議さ、魅力を感じるような内容でした。
この「アメリカ様」という本でもGHQから検閲・削除命令を受け、日米両政府からのダブル弾圧という栄誉に浴しています(^_^;)
今の時代に“現われよ”と言っても絶対に現われることのないような人物「宮武外骨」の本でした。
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