二日酔い主義 傑作選「銀座の花売り娘」を読みました。
『二日酔い主義 傑作選 「銀座の花売り娘」/伊集院静著(文春文庫)』を読みました。
これもまたブックオフにて安価購入。
内容は、1992年から1998年にかけて伊集院さんが書かれたエッセイの中から47作を厳選して収録したものでした。
なので、伊集院さん四十代の頃です。旅に病み、酒に病み、博打に病み・・倒れ伏した病床にまで忍び寄る誘惑が伊集院さんをそのまま大人しくしてはおかない(^_^;)という展開なのでした。
今読んで見ると、「よく、この人まだ生きているな」と思いますが、伊集院さんの人生は、まさに“無頼”の人生です。
・・・あいつは女狂いだから・・・
・・・あいつは博打うちだから・・・
・・・あの人は酒飲みだから(伊集院さんが言うには、上記ふたつよりもこれについては社会は寛容だと)・・・
昔の人はこの三つを「甲斐性」と呼んでいたようです。
三つとも、ずっと続けて行くうちに、最後は『その人がひとりになる』と書かれていましたが、私が今までの人生経験で見て来た人もそんな感じだったなぁ。
見離されていくんですよね、でも本人はたいしたことないとばかりにそのまま生きて行くのです。
こんな話を伊集院さん、淡々と書かれています。次々と苛烈な出来事が襲ってくる人生をちょっと寂しげに語るその“語り口”にいつもながら寒気を覚えつつ、夢中で頁をめくってしまうのでした。
もひとつ、ぐっとくる文がありました。
「四十歳を過ぎたばかりの年齢は、仕事にしても家族のことにしても、順調に行ってる男はほとんどいない。たぶん一番せんない年齢じゃないかと思う。(それは五十歳を越えても同じことなのだろうが・・・)」
と書かれていました。
思わず「たしかにっ!!」と心の中で声を出しました。
人生の中でも一番つらい時期なんじゃないでしょうか。
そして、「五十になっても同じだろう」と、括弧書きで書かれていましたが、実際は“つらいけど”、諦めと達観が自身を強く前進させる原動力になったように私は今思います。
ということで、男の人生についていろいろと考えさせられる内容の本でした。
背中にいろいろなものを背負っている男の人は読んだ方がいい・・d(^_^o)
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