ビートルズ「Let It Be」のスーパー・デラックス・エディション、四回目の試聴は、 Disc 4『GET BACK LP-1969 GLYN JOHNS MIX-』です。
このグリン・ジョンズ・ミックスという盤は、当初「ゲット・バック」というタイトルで、ジャケットはあの後に発売されたベスト盤「青盤」のジャケット・・(つまりビートルズのデビュー盤ジャケットと同じ場所で同じ位置で四人のメンバーが写真に収まっているという)・・で、世に出る予定でしたが、結局この2021年まで正式には世に出なかった幻のLPレコードをCD化したものです。
でも、このグリン・ジョンズの作ったアルバムは、アメリカのFMラジオで、“次期アルバム”というふれこみで放送されたと聞きました。
それが録音され、海賊盤が世界中に出回ったわけです。そして、それを私も所有し、だから内容についてはすでに知っているビートルズ・ファンはかなり多い。
海賊盤のジャケットも予定されていたものにした“凝った”ものも出ていました。
というわけで、あらためて正式にCD化されたアルバム「ゲット・バック」、聞いてみます。そして聞きながら感想を書いてみます。
①One After 909
ポールとジョンが右と左のスピカーにくっきりと分かれてミックスされています。
なんだか逆に不自然な感じ。
リンゴのハイハットのリズムが真ん中で、“音デカ過ぎ”!
ジョージのギターも右側で浮いた感じに聞こえる。これまた不自然。
オリジナルでは、LPの最後に入っていた会話がここで登場している。これもたぶんあとからくっつけたもので、本来の収録場所ではないと思われる。
②I'm Ready(aka Rocker)/Save The Last Dance For Me/Don't Let Me Down
ジャムっぽい演奏から入るが、テープのキュッという音がしたりして“海賊盤”ぽい感じがする。
「ラストダンスは私に」を歌い出すが、なんだか酔っ払っているみたいな歌い方だし、こんなの入れる必要があったのだろうか、ましてや正式盤にしようというのにこれはないと思う。
「ドント・レット・ミー・ダウン」に入ろうとするが失敗するシーンも収録されています。
③Don't Let Me Down
かなりスローな感じで曲が始まる。まだバンドは温まっていない感じがします。
なんていうか“冷え冷え”とした演奏に私には聞こえる。
リンゴのドラムも重たい。
ジョンのボーカルもイマイチ冴えが出ていないと思う。
ジョンもポールも遊びでいろいろ掛け声的なものを入れていて、まだまだ仕上がっていない印象です。
終わりはリンゴのドシンドシンというドラムで突然終わらせてしまいます。
④Dig A Pony
最初のイントロの失敗まで入れているけど、これはいらないと思いました。
ジョージのギターは、まだまだ未完成な感じで、弾くフレーズも探っている様子がうかがえる。
もうひとつ勢いが足りず、ジョンのボーカルもちょっと喉が“いがらっぽい”感じが残っている。
テンポも遅めで、曲がもたついているし、ジョンは途中で笑い出したりしていて、これもアルバムに入れようとしていたわけだから、ちょっと私には理解できない。
エンディングのおふざけも海賊盤的でいただけない。
⑤I've Got A Feeling
こういう曲にしようというのは、バンドとしてもう出来ている感じがする。
でも、個々の演奏はまだ詰めが甘い部分がそのまま収録されています。
ジョンとポールの掛け合いもまだ“これだ”というところまで来ていません。
最後の尻切れトンボの終わり方も海賊盤みたいです。
⑥Get Back
これはシングル盤と同じテイクだと思います。
リンゴのドラムのキレは抜群!
ポールのシャウトしそうでしない、甘い声のボーカルもカッコイイ(゚ー゚*)。oO
ビリーのオルガンも、もちろんバッチリの決まり具合です。
ジョンもジョージも素晴らしいギター・プレイを聞かせてくれますd(^_^o)
録音もとてもいい。
⑦For You Blue
イントロのジョージのギター失敗部分まで入っている。
そしてジョージのギターのつま弾き、ストロークがかなりはっきりわかる形で録音されている。
ジョンのスライドもよく聞こえる。
オリジナルLPよりも“ノリ”がいいみたい(*^_^*)
ジョージのボーカルもリアルな感じが出ている。
⑧Teddy Boy
ポールのソロ・アルバム「マッカートニー」にも収録されていた曲です。
アンソロジーにも入っていたが、あの強烈なハウリングは取り除かれているようです。
で、しつこいくらいに繰り返しこの曲を歌うポールですが、いやもう何度歌ってもこの曲はこれ以上良くなりませんよ(^_^;)
ジョンも付き合って、いろいろ後ろで語り口調でやってくれてますけど、何をしても無駄だと思いました (・_・;
やればやるほど聞いているこちらは「もういいよ」となってくるのでした…σ(^_^;)
⑨Two Of Us
今まで他の曲でも書いてきましたが、このアルバムに入れるにあたって、ほとんどの曲がまだ完成されていない感じで、演奏もかなり“ダレ”ている印象があります。そういうコンセプトだったのかと思いますが、今にして思えば、これを当時出さなくてよかったと思います。
ビートルズにがっかりする人はかなりいたんじゃないかと思います。こういう演奏を聞かされては。
この曲も、“ゆるう~い”感じは否めません。
⑩Maggie Mae
オリジナルと同じテイクだと思いますが、こちらの方が音は分離されてよく聞こえるように思う。でも、フェイド・アウト(^_^;)
⑪Dig It
この曲の本体の演奏部分(映画でもそのシーンは収録されていた)が収録されたものです。
オリジナルLPでは、最後の“シッポ”の部分だけですが。
でも、この曲自体がそんなに素晴らしい曲でもなく、「テディ・ボーイ」みたいに、いくら長くやってもそんなに良くならない曲だと思いました(*^_^*)
やはり途中で“ダレ”てくる。
⑫Let It Be
曲前の会話などが聞こえる。
テイクとしてはシングル盤と同じものかと思えるが、いろいろな“後付け”されたものは排除されている。
「ウー」っていうコーラスもそのままよく聞こえる。
ポールのボーカルは、エコーがかなりかかっているように感じる。
間奏後にポールのピアノが不協和音みたいに弾かれる部分はそのままだった。
リンゴのドラムはプレイも音も満点です(^-^)/☆
⑬The Long And Winding Road
本来のオーケストラが入っていないバージョンで、アンソロジーでも聞くことが出来ましたが、このアルバムの海賊盤が出回っていた頃は、まさにこのアルバムのこの曲のこのバージョンが聞きたいがために必死で手に入れたものでした。
そのときの“新鮮”さは、今聞いても失われていません。とても“みずみずしい”'(*゚▽゚*)'聞いたことのない人はぜひ聞いた方がいいバージョンです。
⑭Get Back(Reprise)
これは映画の最後に流れていた「ゲット・バック」あのリプライズ部分です。
映画の「これで終わりだな」・・という感じを思い起こさせてくれました。
以上がグリン・ジョンズ版「ゲット・バック」を聞いての感想です。
聞きながら書いたので、いろいろとまだ気づいていないことがあるかと思いますが、今後何度も聞いて、また再発見をしたいと思います。
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