前回から続いて、YouTube「ゆっくり宝塚ちゃんねる」という、とても丁寧に調べられているすごいチャンネルに影響され、そこで揚げられていた歴代トップスター在任期間ベスト10の方々について、私の思い出などを書いてみたいと思います。
今回は、第5位から第1位までです。(※前回も書きましたが、トップスター制度がはっきりと確立した1980年代以降のものだそうです)
第5位 剣 幸(つるぎ・みゆき) 月組 在任 1941日 5年3ヶ月
宝塚史上に残るトップ・オブ・トップなのではないでしょうか。
ものすごい人気を誇った大地真央さんからトップを引き継がれただけで、大プレッシャーだったと思いますが、見事に男役とはこういうものだ、という境地にまで達した方だったと思います。そして組子達をやさしく見守っていた方だと思います。
洋物、和物、どちらの演目でも華麗にこなし、お芝居もショーもどちらも、いつも抜群の出来でした。
特に日本で初の舞台化となった「ミー&マイガール」の公演は人気を呼び、宝塚大劇場→東京宝塚劇場→宝塚大劇場→東京宝塚劇場と二往復するロングランとなりました。一年間、月組は「ミー&マイガール」を公演していたわけです。今となると信じられない。
相手娘役のこだま愛(こだま・あい)さんとの名コンビで、一から「ミー・アンド・・」をつくりあげ、私はこの演目の“虜”となり(^^;)、東京と宝塚で十数回見ることになりましたが、毎回台詞が異なっていました。
つまり、あのひとつひとつのギャグも毎回、試行錯誤を繰り返していたのです。どんどん面白くなっていった。
「ミー・アンド・・」が、ロングランとなってしまい、二番手男役、涼風真世(すずかぜ・まよ)さんは、一年間女性役のジャッキーを演じることとなってしまったため、二度目の宝塚大劇場では二日間だけ、涼風さんがビルを、剣さんがジャッキーを演じたことがありました。
私はそのうち一日を見て、午前と午後でビル、ジャッキーの入れ替え公演を見たのですが、最後大階段を娘役・ジャッキーの衣裳で降りてくるトップの剣さん、滅多に見られない“いいもの”を見させてもらいました。
そして、剣さんのジャッキーは、ラストでジェラルドに張り手をされそうになったらやり返し、ジェラルドに張り手をかまし、痛い痛いという手のひらを振るという演技をしながらジェラルドと腕を組んで「結婚することになった」と舞台に出て来て場内の爆笑をかっさらったのでした。剣さん、天才!
長くなるので、剣さんはここまで。
第4位 春野 寿美礼(はるの・すみれ)花組 在任 2009日 5年6ヶ月
春野さんについては、完全に私の宝塚観劇休憩期間に入っていて、実物の公演を見ていません。
わずかですが、DVDなどで拝見して、実に完成した印象の男役スターでした。
長期間の在任になったのも、芝居、歌、ショーなど、どれも素晴らしく見えましたので当然のことだったのだと思います。
リアルタイムで観劇できなかったことが残念です。
第3位 明日海 りお(あすみ・りお) 花組 在任 2022日 5年6ヶ月
明日海さんは、本人が「月組の男役になりたくて宝塚に入った」と話していられたのをテレビで見たことがありましたが、学年が近く、共に将来トップだろうという関係の中、同じ組の中にいる龍真咲(りゅう・まさき)さんがトップになると、【準トップ】という不思議な立場となり、トップと同じ主役を役替わりで公演したりする、本人達も、ファンも、たぶんイヤだったであろうことになりました。
明日海さんが花組に組替えになり、この問題はおさまったわけですが、釈然としないものでした。
で、花組の二番手スターとなり「戦国BASARA」で「東急シアターオーブ公演」に登場すると、明日海さんが“只者”ではないことがわかりました。
圧倒的で、主演の蘭寿とむ(らんじゅ・とむ)さんを“クッて”しまうくらいの存在感でした。月組で“未完成”な印象だったものが、組替えで一気に開花したようでした。
そして「エリザベート」でトップお披露目したときには、素晴らしいトートを演じ、すごいトップスターになったと思いました。
その後はどんな演目も明日海さんが主演すれば、凡作になりそうなものさえも大きな意味を持つ素晴らしい作品になりました。
残念なのは、相手娘役が結局四人代わったのですが、トップコンビ二人で生み出すような独特のものは作り得ない状況になってしまったことです。
無い物ねだりですが、もし月組の娘役・愛希れいか(まなき・れいか)さんが相手娘役だったら、二人で唯一の大きなトップ・コンビになったのではないか、と思います。
月組時代の「アリスの恋人」「ロミオとジュリエット」などでは、抜群の相性という感がありましたし、愛希さんの明日海さんと組んだときの“活き活き”とした感じは本物だったと思います。
第2位 柚希 礼音(ゆずき・れおん) 星組 在任 2204日 6年1ヶ月
柚希さんの人気は若いファンからオールド・ファンまで満遍なく層の厚いものだったと思います。
歌唱力は他の追随を寄せ付けず、力強くグングン突き進む豪快なトップスターでした。
相手娘役の夢咲ねね(ゆめさき・ねね)さんとは在任6年間ずっとコンビを組み、“ちえ・ねねコンビ”と呼ばれ、相性も良く、二人で星組を引っ張っていました。
「ノバ・ボサ・ノバ」は古くからの宝塚のそれこそ「宝」のようなショーの演目でしたが、これは柚希さんの星組にとって最高のものになりました。
“狂熱の嵐”のようなステージは、見ているこちらも興奮で疲れてしまう(*^^*)くらいの怒濤の熱演でした。
そして、カップリングのお芝居「めぐり会いは再び」は、対照的に“ゆる~い”ほのぼのとするもので、夢咲さんの魅力が爆発していました。
やがて、「眠らない男・ナポレオン」という超大作で、柚希さんと夢咲さんの黄金コンビは完成したという印象です。
その後、「太陽王 ル・ロワ・ソレイユ」では、、夢咲さんは別舞台に出演、柚希さんは後の娘役トップとなる二人、妃海風(ひなみ・ふう)さん、綺咲愛里(きさき・あいり)さんと舞台に出る頃になると、もう行き着くところまでいった・・という感じが私にはありました。
最後には、専科の轟悠(とどろき・ゆう)さんが主演として星組に登場するなど、トップ交代が近づき、仕上げに入ったな・・と思っていると退団が発表されました。
宝塚の歴史に残るトップ・コンビでした。
第1位 和央 ようか(わお・ようか) 宙組 在任 2246日 6年2ヶ月
せっかく、第1位だっていうのに、私の宝塚観劇休憩中のトップスターにあたってしまいました (・_・;
生の舞台は、関西に出張したときに一度だけ拝見しましたが、その頃は誰が誰やらわからない状態だったので、「なかなかいいな」くらいしか覚えていないのです・・面目ない。
でも、のちに DVD などで見た和央さんの舞台は、それまでの宝塚の男役とは異なり、とても現代的で、スマートで格好いい印象でした。
また、花總まり(はなふさ・まり)さんとの「ファントム」も DVD で見ましたが、これ以上ない最高のものでした。
舞台上で“ぼとぼと”と、ほんとうに涙を流す花總さん、そして哀しい怪人を抜群の歌唱と共に演じる和央さん、声も出ませんでした。
だもの、6年2ヶ月という最長の在任期間になったのでしょう。
以上で、宝塚トップスター在任期間ベストテンの方々への想い出などを綴るこの企画、終わりです。
せっかく宝塚スピリットに火が点いたので、今後も今回参考にさせていただいた YouTube チャンネルなどを見ながら、この火が消えないようにしようと思います。
それでは、また何らかの宝塚の話題で。
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