矢川澄子さんの「妹たちへ」というエッセイ集を読みました。
『矢川澄子ベスト・エッセイ 妹たちへ/矢川澄子著 早川茉莉編(ちくま文庫)』という本を読みました。
著者、矢川さんは1930~2002年、東京生まれで作家・詩人・翻訳家。
仏文学者作家の澁澤龍彦氏と結婚、仕事の協力者として活躍したが、その後離婚されています。そのことも、このエッセイ集には書かれていました。
失礼ながら、私は矢川さんのことを存知上げず、たまたま書店でこの本を見つけ、購入いたしました。なんか、ただ事じゃない雰囲気を醸し出している本だったのです。
読んで見て、たしかに“ただ事”じゃありませんでした(^_^;)
ものすごく繊細で、透明感があり、孤高のひと、みたいなところがありつつ、物怖じせず、信ずることに従い突き進んでいくようなところもあり、男に対して神秘的、性的な部分を感じさせつつも、ある意味とてもあっさりと、バッサリとした感覚も持っている・・魅力的でもあり、不思議な人でした。
後半に矢川さんと付き合いのあった森鴎外の娘、森茉莉さんとのエピソードも登場しましたが、なんだか森茉莉さんに似ているというか、“孤高”な感じが互いに呼び寄せるようなものがあったんじゃないか、などと思いました。
初めて「男」を経験したときのことも書かれていましたが、翌日の入浴中のことが書かれていて、生々しいがとてもセンシティブな表現に、新鮮な驚きを感じました。
ベスト・エッセイとして編集されているものなので、文学に関することから、日常生活のこと、食べ物のこと、自分と関わった人たちのことなど、“ネタ”は満載です。
四百数十頁もある本ですが、濃密で読み応えのあるものでした。
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