「笑伝 林家三平/神津友好」を読みました。
『笑伝 林家三平/神津友好著(新潮文庫)』という本を読みました。
これもまた、ブックオフで購入したのですが、もともとは昭和60年に文藝春秋社から刊行されたものを平成17年に文庫化したものです。
林家三平(もちろん初代)といえば、「昭和の爆笑王」と言われることが多いわけですが、この本によると、亡くなられたのが昭和55年ですから、もう三平さんの全盛期を覚えている人も少なくなっていると思います。
私にしても、たぶんテレビに出まくりの全盛期は小学生だったと思いますので、「時は流れた」と実感します。
私が覚えている三平さんは、高座というか舞台では立っていて、うしろに絶対に笑わないアコーディオン奏者の方(この方がどういう人かということも、この本には書かれていた)がいて、歌いまくり、上手から下手まで走ったり、転んだり、そしてギャグの連発、おもしろいんだか、おもしろくないんだか考える間もなくしゃべりまくり、“ウケない”と「これはなぜ面白いかというとぉ~」ってお客さんに説明したりしていました(^^;)
昼から夜まで、テレビにも出ずっぱりで、昼の帯でワイドショー的なものにも出ていたような記憶があります。
東京タワーのサテライトスタジオから「タワーバライエティ」という番組だったような記憶が・・。たしか司会のアナウンサーは豊原ミツ子さんという方だったんじゃないかと思います。
この本は、終戦を迎え、兵士だった三平さんは復員となり、東京の瓦礫の中に自宅を探す姿から始まります。
その後の父・林家正蔵の死から、落語家としての下積みの様子、結婚、さまざまな苦労や失敗の話、噺家としての苦悩する様子、売れ出して調子にのって女に溺れたり、散財するところなど、事細かに書かれていました。
著者の神津友好さんは、以前よくお笑い番組や寄席番組などで解説している姿をお見かけした方でした。
三平さんが病に倒れた晩年に三平さんと互いに涙を流しながら復活への台本を書かれたりしていて、私も涙ながらに読みました。
この本を書くにあたっても、三平さんの奥さんの香葉子さんのもとに足繁く通い、いろいろなエピソードや事実確認もされていて、私も「こんな詳細な伝記が書けるというのはすごい仕事だ」と驚きながら読みました。
三平さんが日々新聞を何紙も取り、そして電車の中吊り広告を見たりして、一番あたらしい話題を取り上げようとしていた姿が書かれていましたが、今、こうして新しい話題を次々とギャグにして、人々をなんとか笑わせようとするお笑い芸人って、いるでしょうか。
人を笑わすのが商売なのに、コメンテーターみたいなことをやっている人、やりたがっている人が多くて、「笑わしてくれないんかい?!」と突っ込みを入れたくなるのですが、笑いのためならどんなことでもやっちゃう、そんな芸人さんはもう出ないだろうと思いつつ読了いたしました。
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