「便利になると、見えなくなるものがある」という話。
日曜日にラジオ・文化放送の番組「日曜のほとり」を聞いていましたら、阿川佐和子さんが、「便利になると、見えなくなるものがある」というお話をされました。
印象に残ったので、それについて書きます。
阿川さんが仕事で目的地までクルマに乗せてもらい、高速道路を走っていたときのことだそうですが、運転していた人が出口を間違えて、いくつか手前の出口で降りてしまったとのこと。
なので、そのまま「下(した)道」を走って目的地に向かうことにしたのだそうです。
そうしたら、いろいろな集落を通過し、家々が立ち並ぶ町並み、お店や、公の建物、山や田畑などの風景・・。
「高速に乗っていたら、この辺りには、こういう生活風景のあるこんな町があるんだ」と気づくことはなかった」と、阿川さんがお話されていました。
これは、乗り物、交通機関の話だけでなく、世の中の“便利になった”物・事にいろいろと当てはまるんじゃないかと思いました。
メールや LINE で簡単にすむ連絡、こりゃ便利だと思いますが、手紙や実際に会うなど、別の方法で連絡事項を伝えたときの相手とのやり取りや、表情などから感じること・・もうそれはほとんど世の中から消え去りました。ようするに、もう見ることのないものです。
元に戻ることは、当然もうありません。
様々な届出などもネットで出来るようにしようと、デジタル庁だなんだというところが考えているのでしょうが、婚姻届を二人で役場の窓口に出して、「おめでとうございます」と声をかけられたその時の光景、空気は生涯忘れられないものになると思います。
あと数年後には、ネットの「送信完了」の画面が心に残るのでしょうか。
阿川さんと同じく交通機関の話にしても、リニア新幹線はものすごく速くて、“こりゃ便利”なのでしょうけれども、トンネルだらけの路線も含め、途中にどのような地域があるのかなんてまったく関係のない旅になります。
出張になり、ちょっとくらい遠くたって、規定により「日帰り」を申し渡され、行った先の街がどんなところか、名勝地はあるのか、名物は、なんて考えているヒマもありゃしません。
便利になれば、それが一番という世の中が変わることはありませんが、でも、ちょっと立ち止まってこんなことを考えてもいいんじゃないかな、と思い、書いてみました。
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