「オノマトペがあるから日本語は楽しい -擬音語・擬態語の豊かな世界-」を読んだ。
『オノマトペがあるから日本語は楽しい -擬音語・擬態語の豊かな世界-/小野正弘著(平凡社新書)』という本を読みました。
これもまたブックオフで超安価で手に入れました。
開いてみると、後半のオノマトペの歴史的な考察の部分には、この本を売った人の鉛筆書きの“線”や“丸”がいっぱい引かれていて、それが気になって後半は“気もそぞろ”になってしまい…σ(^_^;)歴史的考察については頭に入りませんでした。
「オノマトペ」・・擬音語・擬態語なしに、私達の言語生活はあり得ないわけですが、それについてこんなにムキになって書かれた本も珍しく、楽しく読みました。
笑ってしまったのは、劇画「ゴルゴ13」のゴルゴが煙草に火を付ける時のライターの音「シュボッ」の音について、なにか、こすれた感じ、勢いよく広がったり、ふくらんだりする感じがあるというのですが、これには私も同感d(^_^o)
で、著者はゴルゴの全巻を用意し、「シュボッ」が最初に登場するシーンを探し出すのですが、意外や最初は「チャッ」でした。・・著者はショックを受ける(^_^;)
「シュボッ」はいつでで来るのかと読み進むと第三巻では「シュパッ」となっていて、またもやショック!(^^;)
さらに読み進み、第11巻で「シュボッ」が登場するのですが、そのライター点火音は、ゴルゴではなく刑事同士が煙草に火を点けてやるシーンだったのです。
著者も“根性”で読み進み、第35巻にてやっとゴルゴ自身が「シュボッ」と火を点けるシーンが出て来ます。
ここで力尽きて150冊を越える「ゴルゴ13」中の「シュボッ」状況確認の作業を終えます。「このあたりで満足しておくのがよいだろう」(^_^;)と。
「シュボッ」だけでも上記のようにとことん行ってみる著者をたちまち好きになってしまいました。
川端康成の「伊豆の踊子」に、『ことこと笑った』という表現が出て来て、それについてもいろいろと考察しています。
この『“ことこと”笑った』が出てくる部分を引用すると、下記になります。
仄暗い湯殿の奥から、突然裸の女が走り出して来たかと思ふと、脱衣場の突鼻に川岸へ飛び下りさうな格好で立ち、両手を一ばいに伸ばして何か叫んでゐる。手拭もない真裸だ。それが躍り子だった。若桐のやうに足のよく伸びた白い裸身を眺めて、私は心に清水を感じ、ほうつと深い息を吐いてから、ことこと笑った。子供なんだ。
読んで見ると、“感じ”がわかります。
「ことこと」にもなんとなく納得できそう。
たった二例でもこれだけ面白いので、この本全体については、とても楽しく読めました。
「言葉」についての本、いろいろと読んできましたが、これも良い本でした。
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